Nコロにスバル360にフロンテ! 360cc時代の軽自動車が最高に「粋」だが安易な手出しがNGなワケ (1/2ページ)

スバルもホンダもマツダも原点は軽自動車

 マツダが100周年記念の特別仕様車を全ラインアップに設定しています。白いボディと赤い内装のコンビネーションが特徴ですが、それはマツダ初の四輪自動である「R360クーペ」をオマージュしたものだということは、マツダ自身が明言しています。

 そう、マツダの原点は軽自動車でした。

 R360クーペの誕生は1960年。当時、東洋工業という社名のマツダが全日本自動車ショウ(東京モーターショーの前身)に出展したのが、白いボディに赤いルーフとシートを組み合わせたR360クーペだったのです。クーペという名前のとおり、2+2のキャビンをミニマムでしたが、初めての四輪車である軽自動車からマツダは自動車にスポーツ性を追求していたことは、まさにDNAを象徴するもので、ここに原点があると実感できるスタイリングになっています。メカニズムも凝ったもので、エンジンはバンク角90度のV型2気筒OHV。空冷の4サイクルエンジンでした。搭載位置はリヤ、後輪駆動ですからRRレイアウトというわけです。

 この当時、軽自動車のエンジンでは空冷は珍しくありません。むしろ主流です。そして空冷であったゆえにエンジン搭載位置の選択幅が広く、RRレイアウトも少なくありませんでした。

 その元祖的存在といえるのが、富士重工業(現在のSUBARU)における初めての市販四輪車「スバル360」です。1958年に誕生、「てんとう虫」の愛称で親しまれたスバル360は初期軽自動車の大ヒットモデルとなりました。丸みを帯びたボディはモノコック構造で、スタイリングは強度や剛性から導き出された合理的なカタチ。ドアは後ろヒンジで開くデザインはいまでもユニークで、スバル360らしい特徴となっています。こちらのエンジンは空冷2サイクルの並列2気筒で、リヤに横置き搭載されたもの。RRレイアウトとすることでキャビンの外側にパワートレインを配置するというパッケージを実現したのです。

 スバル360が大ヒットしたことで、360cc時代の軽自動車のスタンダードは空冷2サイクルエンジンのRRレイアウトとなっていましたが、そこに一石を投じ、流れを変えたのがホンダN360です。1967年に誕生したN360のエンジンはフロント搭載で、駆動輪もフロント。つまりFFレイアウトをとっていたのです。さらにエンジンは空冷の並列2気筒というのは軽自動車のスタンダード的ですが、4サイクルの“OHC”ヘッドというのは当時としては進んだメカニズムといえるもので、エンジンのホンダというイメージはこのころからユーザーに浸透していったといえるかもしれません。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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