いま欧州メーカーが「利益」にならない「レストア事業」に力を入れるワケ (2/2ページ)

売上や利益だけではない! ESG投資が重要に

 もうひとつが、ESG投資だ。一般的には、あまり聞かない用語かもしれない。企業経営に対して、売上高や利益率など従来のような判断指標だけではなく、環境・ソーシャル・ガバナンスを重視するものだ。近年、投資家から企業経営者に対して、ESG投資への配慮が強まっている。

 ESG投資の観点で、もっとも大きな影響があるのが電動化だ。欧米では国や地域でCO2総量規制や、電動車の実質的な数量規制があるが、そうした法規制だけでは、欧州メーカーで一気に増えてきた電動車に対する説明はできない。

 メーカーによるレストアビジネスもこれと同じで、ESG投資の側面がある。そもそもメーカー系レストアのコスト設定はかなり高めだが、それでも本社直属の事業としては手間ひまを考えると、けっして収益性が高いビジネスモデルではない。

 それでも、欧州でメーカー系レストアが増えてきたのは、欧州メーカーが電動化と同じくESG投資に対する強い意識を持っているからだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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