工場周辺の飲食店は厳しい状況になるケースも
では、いわゆる下請け業者についてはどうだろうか。こちらもケース・バイ・ケースで移管先でも引き続き取引がある業者もあれば、そうでないこともあったという。そもそも村山工場の閉鎖は、ゴーンショックと呼ばれた大リストラ計画『日産リバイバルプラン』に基づくものであり、取引業者についても大幅に見直されただけに、工場閉鎖がなくとも取引状況が大きく変わったことは間違いない。それでも力のあるサプライヤーは関係を続けてきている。
不可抗力的に厳しい状況に追い込まれたのは、工場周辺の飲食店などだろう。工場には社員だけでなく納入に来た業者やさまざまな出入りがあり、そうした人の流れは飲食店にお金を落とすことになる。しかし、工場閉鎖となれば売上が下がることは必至であり、村山工場の周辺でも9割近い飲食店が姿を消したという。
おそらく似たようなことはパジェロ製造、狭山工場の周辺でも起きるであろう。生産移管に伴って取引が続く可能性があるサプライヤーと違って、飲食店やサービス業は直接の契約を結んでいるわけでもなく、また100%の売上を依存しているわけでもないからだ。
とはいえサプライヤーはじめ多くの納入業者にとって大規模な完成車工場の閉鎖が戦々恐々なのは間違いない。仮に、工場は閉鎖されたとしても、国内での生産能力自体はキープされるのであれば取引規模は変わらない可能性もあるが、パジェロ製造や狭山工場の閉鎖というのは生産キャパを小さくして、稼働率を上げることが狙いといえるからだ。