トヨタ・ヤリスが月販1万台でも「微妙な空気」の販売現場! ヴィッツからの「車名変更」が落とす影 (1/2ページ)

約20年続いたヴィッツの名は偉大だった

 2020年2月にそれまでのヴィッツがフルモデルチェンジのタイミングで、日本国内でもそれまでのヴィッツのグローバル車名であるヤリスとなって登場した。自販連(日本自動車販売協会連合会)統計によると、2月のデビューから8月までの累計販売台数は7万3989台、月販平均販売台数は約1万569台となり、月販目標台数7800台を大きく上まわっている。しかも4月からは6月を除き8月まで、登録車のみの販売ランキングで1位となっている。

 販売台数統計を見ると確かによく売れているのだが、販売現場にいる複数のセールスマンからは、「販売統計ほど売れているというという実感は販売現場にはない」という感想が聞けた。さらに新車販売の事情通によると、「『わ』ナンバー、つまりレンタカーとして、フリート販売で販売実績の上乗せをしているようだ」という話を聞くこともできる。確かに、街なかを歩いていると、見かけるヤリスのうち結構な割合が『わ』ナンバーだということは、新車販売業界に詳しいひとたちの間では話題になっている。

 また販売現場では車名をヴィッツからヤリスに変更したことへの違和感も大きい様子が伺える。あるセールスマンは「車名がヤリスになったのは結構きついですね。メーカーとしては、『もともとグローバル車名はヤリスだった』というロジックで今回変更しているようです。また、ラリーへの参戦の関係でもヤリスにする必要があったようです。ただヴィッツという車名を捨てるのはもったいなかったように思えます」と語ってくれた。

 初代ヴィッツは、それまでのスターレットの後継モデルとして1999年に登場している。ギリシャ人デザイナーが手掛けたデザインや、センターメーターレイアウトを採用するなど、斬新なモデルとして評価が高いだけでなく、人気も高いものであった。

 その後2005年に2代目、2010年に3代目がデビューし、今回4代目ともいえるモデルが日本国内でもヤリスの車名でデビューしている。ヴィッツとして20年ほど販売が続けられたこともあり、ヴィッツという車名が定着してきたなかでの改名は販売現場から見れば、悩ましいところともいえるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報