伝統的なシルエットと現代の最新技術を組み合わせた新しい“Z”
日産は2020年9月16日(水)、次期「フェアレディZ」のプロトタイプモデル「フェアレディZ プロトタイプ」を初公開した。フェアレディZは事業構造改革計画「NISSAN NEXT」で発表された12車種のうちのひとつで、NISSAN NEXTの中核を担う「日産の象徴」というべきモデルだ。
フェアレディZの歴代モデルを見ると、時代をリードするパワフルなエンジンを搭載している。プロトタイプも例にもれず、シャープで長いボンネットの下には6速マニュアルトランスミッションを組み合わせたV6ツインターボエンジンを搭載。ボディサイズは全長4382mm×全幅1850mm×全高1310mmだが、生産モデルが同等のサイズになるかは不明だ。プロトタイプは、現行モデルとそれほど大差ない大きさのように見える。
プロトタイプのエクステリアデザインは「S30」や「Z32」などの歴代モデルをオマージュしたシルエットになっている。例えば、フードのバルジ形状やLEDヘッドライトのティアドロップ形状はS30を彷彿とさせる。また、ヘッドライトにあるふたつの半円のデザインは「240ZG」のドーム型レンズによる円状のリフレクションを作り出すデザインを反映。四角いジオメトリックなグリル開口も、歴代Zの持つアイコンを継承している。
サイドシルエットは長いノーズから続くルーフラインの先に垂直に切り立つテールエンドと、フロントフェンダーよりもわずかに短くし、なだらかに傾斜するリヤのデザインを作り出すことによって、S30の特徴を再現した。
リヤのデザインもS30やZ32などの歴代モデルが持つテールランプからインスピレーションを受けたもので、レイヤー形状に光り輝く演出によって現代風にアレンジしている。
そのほか、カーボン製のサイドシルやリヤバンパー、19インチのアルミホイール、左右2本出しのマフラーなどもスポーツカーとしてのパフォーマンスの高さや存在感を表現している。
ボディカラーも歴代のZに用いられたモダンイエローをイメージし、ソリッドパールの光と影のコントラストを実現した鮮やかでメリハリのある黄色を採用。近くで見ると、蛍光色に近い鮮やかさが際立っている。ブラックルーフとの組み合わせによってモダンで未来的なカラーコンビネーションを実現した。
インテリアにはドライビングを楽しむドライバーのためにデザインされた、スポーツカーとしての本格的な装備と最新の技術を融合したデザインに仕上げている。プロのレーシングドライバーとともに理想的なメーターデザインや室内空間のあり方を検討。12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイはエンジン回転計のレッドゾーンが真上に来るようデザインされており、針がレッドゾーンに到達するとシフトアップインジケーターが点滅してドライバーにシフトアップを促し、スポーツドライビングをアシストする。
新たにデザインしたZ専用のステアリングはディープコーン形状を採用。操作しやすい最適なグリップ感や最適化したスイッチ類によって、スポーツドライビングに集中できるように仕立てられた。
また、ボディカラーに合わせた黄色いステッチをインストルパネルの各所に施したほか、シート中央部にグラデーション加工された黄色いストライプ模様を用いたことで、エモーショナルで立体感のあるスポーティなインテリアを演出する。
過去50年で6世代にわたる日産有数の歴史を持つフェアレディZ。世代を超えて世界中のファンに愛され続けるスポーツカーは、伝統的なシルエットを継承しながら現代の最新技術を組み合わせた新しい“Z”として約13年ぶりに生まれ変わろうとしている。2021年に登場する市販モデルが今から待ち遠しい。