最近ではスポーツカー自体の訴求力が低下してしまっている
1980年代~90年代の国産スポーツカー全盛の時代は、各メーカーとも競うかのようにスポーツモデルに最新技術を投入し続けてきた。
可変バルブタイミング機構の代表格であるホンダVTECや、トヨタの名機、4A-G型エンジンに投入された20バルブエンジン、R31スカイラインに世界初採用されたアクティブ後輪操舵システムのHICASなど、枚挙に暇がなかった。
しかし、最近ではそういった新技術がスポーツカーに採用されるケースが少なくなってきたように感じられる。世界初の量産ハイブリッドカーは言わずと知れたトヨタ・プリウス(4ドアセダン)であったし、日本で初めて型式指定を取得した電気自動車の日産ハイパーミニは3ドアハッチバックの軽自動車であった。
このように、スポーツカーに最新技術が投入されなくなった理由を考えてみると、そもそもスポーツカー自体の訴求力が低下してしまっているという悲しい現実が思い浮かぶ。90年代までのスポーツカー全盛期であれば、各メーカーともスポーティなクーペモデルを最低1台はラインアップし、ベーシックなコンパクトカーからセダンに至るまで、スポーツグレードが用意されていることがほとんどだった。
しかし、現在ではスポーツカー自体をラインアップするメーカーの方が希少で、過去にホットハッチと呼ばれるようなスポーツグレードが用意されていたコンパクトカーも、ハイブリッドは用意されてもスポーティグレードは用意されないということが珍しくなくなってきている。
となると、当然存在しない車種に最新技術を搭載することは難しく、より量販化が見込めるハイブリッドモデルや、最近であればSUVなどに力を入れるのも当然ということなのだろう。
また、そもそも自動車の進化は行きつくところまで行ってしまった感もあり、80年代~90年代のころのようにセンセーショナルな最新技術というのがなかなか生まれにくいという現実もあるのかもしれない。