「お客だらけ」には見えないけど……町の昔ながらの「自動車整備工場」の経営が成り立つワケ (1/2ページ)

「最新車の整備はしない」と割り切ることで利益向上も

 街中で見かけるのが、昔からある修理工場。見た目も時代を感じさせるもので、オイルの汚れが床に染み付いていたりして、風情がある。しかし、気になるのが、なぜ潰れないのかということ。テレビ番組でも人気のテーマで、失礼ながらお客さんがバンバン来ているわけでもなく、それでも潰れることなく、営業を続けている。

 ほかの業種なら、学校に納入しているとか、利益率がメチャクチャ高いものを扱っていて、たまにしか売れなくても十分にやっていけるというのが潰れない理由だったりする。では、整備工場はどうなのだろうか。

 知り合いの整備工場のなかにはいくつか、このパターンに当てはまるところがあるので改めて聞いてみると、まずあるのは「古くから付き合いのある地元の年配の方が常連」ということ。しかも修理やメンテだけでなく、クルマの購入もしてくれるので、複数人数いるとまずまずの売り上げになる。もちろん値切ることなく、いわゆる正規料金で支払ってくれるので、なおさらだ。

 さらに、地元の商店や中小企業といった仕事で使うお客さんを抱えていると、定期的な売り上げが確保できる。また、近くにディーラーがないエリアだと、いわゆるモーター店として、個人、法人問わず、新車も地元の人が買ってくれるのは強みで、その後のメンテで入庫する確率も高い。

 経営側としては、オーナー自らが整備を担当していて、奥さんが経理というように、身内だけで回せば人件費は抑えられる。また複数の工場で聞いたのが「最新車の整備はしない」ということ。最新のクルマを整備するには知識も工具もいろいろと必要で、これに対応しだすとキリがなく、コストもかかるだけ。せいぜいデジタル診断機でできる範囲のことにとどめておく。整備を行なう経営者は全体的に年齢的にも高めなので、理解力としてもついていくとなると大変との声もあった。

 そういう意味では、地元の昔からの常連を相手にしていれば、実用車が多く、対応もしやすい。地元の常連を相手に、家電や電球などの消耗品を中心に扱うことでやっていける、街の電気屋さんと同じ構造と言っていい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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