両車はハンズオフ運転ができる条件に違いがある!
SUBARUが新型レヴォーグのプロトタイプをメディア向けに公開している。非常に完成度が高いクルマになっているのは、各メディアで共通する評価といえ、2020年8月20日から始まった先行予約も予想以上の好結果になっているという。
新型エンジンや大改良されたCVTなどメカニズム面でのトピックスも多い新型レヴォーグだが、さらに進化した先進運転支援システム「アイサイトX」の採用は、そうした期待の高さにつながっている。
そもそも新型レヴォーグではステレオカメラのユニットを完全新設計として、フロントの両端に77GHz級のミリ波レーダーを備えるなど先進安全装備である「アイサイト」の機能を向上させ、標準装備している。加えて、メーカーオプションとして高速道路の運転支援システムである「アイサイトX」が設定されている。アイサイトXの特徴は、高速道路において約50km/h以下の渋滞時に限って、ハンズオフ(手放し)運転をすることが可能になっているということだ。
国産車のハンズオフ機能といえば日産がスカイラインに設定する「プロパイロット2.0」が元祖であり、2021年に発売する電気自動車「アリア」ではさらに進化させた「プロパイロット2.0」を搭載すると発表されている。アイサイトXも進化版プロパイロット2.0も、まだ公道で試すことは叶わない時期だが、はたしてどちらが“本当に使えるADAS”なのだろうか。
現時点で判明している範囲でいうと、「アイサイトX」がハンズオフできるのは高速道路上でシステムが渋滞と認識したとき。一方「プロパイロット2.0」は高速道路を走るルートを設定していて、なおかつ高速道路上に限定される。つまりアイサイトXは高速道路が制限速度近辺で流れているときにはハンズオフできないし、逆にプロパイロット2.0はルート設定をしているという大前提が条件となっているのが違いだ。なお、いずれのも運転支援システムも、ドライバーの操作を起点に車両が自動で車線変更を行ない、追い越しを済ませる機能は備えている。
実際のシーンで考えると、高速道路を制限速度で流している状態というのは、アイサイトであっても車線中央維持が働いているため、ほとんどステアリングに触れているだけで車両が操舵を行なっている感覚がある。新型レヴォーグのレーンキープ機能についてはテストコース内でしか試していないが、コーナーの曲率に合わせたライン取りも見事で、ユーザーからすると手放しでクルマに任せておいても大丈夫と感じるだけの安心感・信頼感がある。だからこそ、さまざまな理由があるにせよ通常走行でのハンズオフができないというのは残念に思える。むしろ、ほぼハンズオフが可能な機能を実装しているからこそ、ステアリングに手を添えていなければならないという条件がストレスに感じてしまう。