90年代にヤンエグの間でピックアップトラックが流行
ヤングエグゼクティブ、訳してヤンエグ。すっかり死語になってしまったが、日本のバブル期によく聞かれた。そんなアメリカのヤンエグの間で90年代に入ってから、ピックアップトラックやそれをベースとしたSUVを乗用化することが流行り出した。「できる男は、仕事のオンオフを上手く切り替える」といった感じのイメージだ。
SUVでは、フォード「エクスプローラー」と、その母体であるミッドサイズピックアップトラックの「レンジャー」、またシボレー「タホ」や「サバーバン」と、その母体である「シルバラード」が一気に売れた。こうしたトレンドに対して、若者たちも敏感に反応した。
メーカーにとっても、ピックアップトラックは、梯子型(ラダー)フレーム構造でエンジンはオーソドックスなタイプが主流のため、製造に対する投資が少なく、またディーラーにとって利幅が大きい商材として重宝された。また、SUVが売れることで、ピックアップトラックの原価も併せて下がり、結果としてメーカーからディーラーへの販売奨励金(インセンティブ)も増えたことで、若者にとってもリーズナブルになったともいえる。
さらには、ピックアップトラックは再販価格(リセールバリュー)が極めて高く、7年で10万マイル(16万km)走ったシルバラードが、新車価格の3割~4割で下取られることもある。
結局、アメリカ人にとってピックアップトラックとは、日常生活のなかで、使う面でも資産の面でも、とても効率的なクルマなのだ。