実現すれば大きな物流改革につながる!
大型トラックの隊列走行が求められる背景にあるのは、日本では運転者の高齢化や、成り手不足が深刻化していることだ。そして勤務時間やシフトなど働き方も見直されるだろう。ほかに、交通事故対策もある。トラックやバスの交通事故は、件数としてはそれほど多くはないものの、ひとつの事故が大きな被害や、交通の停滞など悪影響を及ぼす。さらに環境問題も視野に入れた物流の効率化がある。たとえば、コンビニエンスストアでは、店舗銘柄別の物流から、共同での搬送を模索する動きがある。
物流の改革は、単にトラック輸送の安全性向上や効率化だけでなく、将来的にはモーダルシフトと呼ばれる、鉄道や船舶への移行も視野に入れる必要があるだろう。すでに、新型コロナウィルスの影響もあり、乗客の減った新幹線で宮城県のホヤを運び、その日のうちに東京の店で提供されるといった試行錯誤も始まっている。
貨物と乗客を一緒に移動させる取り組みは、交通の大きな改革のひとつとなっていくはずだ。そこで必要なのは、従来の輸送形態を前提とし、堅持するための改善ではなく、高齢化や人口減少、環境や交通安全、そして移動の効率化という多面的な視点で、21世紀の新しい交通の在り方を模索し、そこを終着点とする技術革新と、新しい生活や社会の枠組みづくりである。