D:5の独自性を継承するには三菱独自で生産し続けるしかない
今日、SUV(スポーツ多目的車)の人気が高く、ミニバンはひところほどの販売ではなくなっているが、家族連れなどには根強い人気がある。なかでも、パジェロのような本格的悪路走破性を備えたミニバンというと、D:5が唯一無二の存在だ。日産自動車と提携関係にある三菱自ではあるが、日産セレナと共通化したミニバンでは、D:5の独自性を継承するのは難しいのではないか。そうなると、三菱自独自でD:5を生産し続けるしかないだろう。
すでに13年の永きにわたりモデルチェンジをせずにいるD:5だが、前型のデリカスペースギアも13年であったし、デリカはもともと1モデル10年前後の息の永い車種ではある。
そのうえで、D:5は昨2019年に大幅な改良を施し、外観の印象を大きく変えるとともに、ディーゼルターボエンジンも開発しなおしたといえるほど手が加えられ、動力性能に加え振動・騒音に関わる快適性も格段の改良がなされた。試乗をすると、走りだしたとたんに上級ミニバンになったことを実感させ、高速移動を快適にしたのがわかった。基本となるリブボーンフレームの車体構造が、悪路操作性はもとより、快適さの向上にも資することを改めて実感させた。
この先三菱自は、SUVを含め電動化をさらに進めていく予定だ。SUVは、プラグインハイブリッド車(PHEV)を主体としていくだろう。そうしたなかで、D:5も、いずれは電動化とクリーンディーゼルの併用というような選択肢を広げるかもしれない。
唯一無二のミニバン、あるいはMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)として、D:5の拡張性にさらに期待したい。