コンパクトクーペとして期待された2台も市販化には至らなかった
モーターショーに登場するコンセプトカーには、それぞれ意味がある。完全にこれから出てくるクルマを示していることもあれば、ショーでの反応を見るためのリサーチ的ショーカーというのも存在する。前者の場合は市販化が既定路線だが、後者はリサーチ結果次第ではプロジェクトが頓挫してしまうこともある。じつは、そうして計画が凍結されてしまうことは珍しくないのだが、そのなかでも市販化を期待する声が大きかったショーモデルを、過去の東京モーターショーで公開されたモデルからピックアップ。あらためて振り返ってみよう。
1)トヨタS-FR
まずは2015年の第44回東京モーターショーで話題を集めたイエローボディのコンパクトカー、トヨタ「S-FR」。名前が示すようにFR(フロントエンジン・リアドライブ)のコンセプトで、コンパクトボディながらリヤシートを持つ2+2キャビンを実現したことで実用性も担保していることから市販化を求める声が大きくなった。
さらに2016年には東京オートサロンにレーシングコンセプトを出展するなど、市販化へプロジェクトが進んでいることを感じさせた。とはいえ、残念ながら2016年以降、S-FRについての情報はトンと聞こえなくなった。冷静に考えれば、新規でFRプラットフォームを開発するのは非現実的であるし、縦置きのパワートレインについても同様だ。待望する声はあっても、このプロジェクトは最初から無理筋だったのかもしれない。
2)ダイハツDNコンパーノ
もし、トヨタがS-FRを実現できるとすれば、アーキテクチャを共有できるモデルが必須だ。その意味では2017年の第45回東京モーターショーでダイハツブースに展示されたコンセプトカー「DNコンパーノ」はデザインスタディとしては可能性を感じさせると感じさせるものだった。ダイハツのルーツともいえる名車「コンパーノ」のオマージュモデルといえるDNコンパーノは全長4.2mの4ドアクーペ。
このモデル自体は、市販化を前提としたスタディモデルというよりはダイハツの110周年記念モデルといった意味合いが強かったが、もしトヨタS-FRが新規でFRプラットフォームを起こすとすれば、ボディサイズからしてダイハツが強く関わってくる可能性は高く、だとすれば同じアーキテクチャを利用したコンパクト4ドアクーペが出てくるのは自然と思わせた。その意味ではS-FRとDNコンパーノはつながりも感じさせ、セットで期待を高めたのだが、こちらも市販化という話はまったく聞こえてこない。