フットブレーキやパワーステアリングが利かなくなることも
2)エンジンを切るとフットブレーキが重くなる
乗用車には、ブレーキペダルの踏力を軽くする倍力装置=ブレーキブースターがついている。ブレーキブースターは、エンジンの吸入空気圧を使用する負圧式が一般的なので、エンジンを止めた状態ではブレーキブースターのアシストを得られず、ブレーキペダルが非常に重たくなり、強く踏んでもなかなかブレーキが動かなくなってしまう。
ブレーキブースターが働かない状態で、ブレーキを利かせるためには通常の5倍の踏力が必要とされているので、下り坂でブレーキブースターが利かなくなる状況を作り出すのは自殺行為といってもいい……。
安全のため、一応エンジンが停止した状態でも、1~2回のブレーキなら普段の踏力でもブレーキが利く仕組みになっているが、下り坂でそれに頼るのは非常に危険なことになる。
3)パワーステアリングが利かなくなる
パワーステアリングもエンジンと連動している車種が多いので、エンジンを止めてしまうとパワーステアリングも働かなくなり、ハンドルが重たくなって、操舵が遅れカーブを曲がりきれなくなるリスクも……。
パワーステアリングが利かなくなったら、通常の約2倍の力を入れないとハンドルが回らなくなるということも覚えておこう。
もうひとつ付け加えると、クルマはトラクションがかかった状態が一番安定するというのも大事な点。
反対にブレーキをかけながらハンドルを切った状態は、一番不安定になりやすいので、下り坂だからといって、ギヤをニュートラルにして走るのも厳禁(エンジンがかかったままだとしても)。試すことはおすすめできないが、ギヤをニュートラルにして惰性で走っているときのクルマは、本当に不安定で頼りない状態になるので要注意。
「下手の考え休むに似たり」という言葉があるとおり、安全を犠牲にしての燃費などあり得ないので、あれこれ考えすぎずに、下り坂では基本に忠実に、エンジンブレーキを上手に使って走るようにしよう。