目標を下まわるまさかの「販売不振」にあえぐ現行国産SUV3台と「売れない」理由 (2/2ページ)

後席や荷室の狭さがネックとなり人気を取り戻せなかったモデルも

2)マツダCX-3

 CX-3はコンパクトサイズのSUVで、2015年2月に発売された。当時は2013年に登場したホンダ・ヴェゼルが好調に売れており、CX-3は1カ月の販売目標を3000台に設定した。

 ところが発売の翌年になる2016年には、1カ月平均登録台数が1656台に留まり、早くも目標台数の約半分と低迷した。原因は先に挙げたSUV3要素のうち、居住性や積載性といった実用性が低く、価格も割高だったからだ。

 ボディサイズはヴェゼルと同程度だが、後席と荷室は圧倒的に狭い。身長170cmの大人4名が乗車した場合、ヴェゼルの後席に座る乗員の膝先には握りコブシが2つ半収まるが、CX-3は1つ分しか入らない。

 加えてCX-3は価格が高い。発売時点では1.5リッタークリーンディーゼルターボのみを搭載して、2WD・XDプロアクティブが259万2000円だった。値引きの違いも含めると、25万円程度を上乗せすれば、CX-5の同グレードを購入できた。CX-3はコンパクトSUVとして走りなどは良かったが、明らかに割高で不人気車になった。この後、割安な価格で2リッターガソリンエンジン車を加え、さらに安価な1.5リッターガソリンも用意したが、2020年1〜7月の1カ月平均登録台数は470台に留まる。発売時点で売れ行きが伸び悩むと、後になって人気を改善するのは非常に難しい。

3)スズキ・エスクード

 現行エスクードは、ハンガリー製のコンパクトSUVだ。外観は悪路向けのオフロードSUVに似ており、トヨタ・ライズのような野性的な雰囲気が感じられる。エンジンは1.4リッターガソリンターボで、2リッター並みの性能を発揮する。4WDシステムや各種の装備も充実させた。クルマ自体は魅力的だが、価格は270万8200円と高く、売れ行きも低迷する。

 ちなみに先代エスクードは、後輪駆動をベースにした本格的なオフロードSUVで、4WDには駆動力を高める副変速機を装着していた。排気量は2.4リッターで余裕があり、実用装備も充実させて、価格は219万4500円に抑えていた。売れ行きは低調で知名度も低かったが、買い得車の歴史に、今でもその名を残している。エスクードは、先代型と現行型で格差が激しく、商品開発が場当たり的であることを感じさせる。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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