アクセントになるだけでなく性能面でのメリットも!
メッキはクルマの場合、バンパーやモールなどの装飾的に採り入れられている。ピカピカしていて鏡のような感じは独特の風合いで、見た目のアクセントとしてじつに効果的だ。また硬い被膜を作ることができるので、耐候性などを確保できるのもメリット。さらに、腐食防止のためにメッキ処理されていることもあるし、電子部品では端子などにも使用されている。
しかし、メッキとはそもそも何なのか? 歴史は古く、日本では奈良、東大寺の大仏の表面がもともと金色だったのは、メッキ処理によるもの。言葉の由来も、じつは日本語で滅金(めっきん)がなまったもので、処理中に金が溶けて減ってしまうように見えたことから、金が減ると書かれるようになったという。ちなみにJIS規格では「めっき」とひらがなで書くのが正しい。
では、どうやって作るのかというと、一番簡単なのは電気メッキで、イオンの力を使って金属の表面に金やクロムの層を吸着させるもの。また、電気は使用せず、金属が含まれている液剤の中に浸けて表面処理をする無電解メッキというのもあり、クルマにはこのふたつが多く使われている。
さらに最近のクルマを見ると、樹脂にしてあることが多いのに気が付く。樹脂は電気を通さないので、本来メッキはできないのだが、下処理としてまず金属膜を作ったうえでメッキ処理を行なっている。ちなみに樹脂にメッキをした場合、被膜は薄くなる傾向にあるので、あまりゴシゴシこすらないようにするというのが注意点だ。
そのほか、成分を蒸発させて均一に被膜を作る蒸着メッキや、これにイオンの吸着力をプラスしたスパッタリングなど、ひと口にメッキといってもじつに幅広い。それだけ、クルマも含めて、さまざまな製品でメッキは欠かせない存在と言っていい。
いずれにしてもメッキは特殊な設備が必要となるのが欠点だが、仕方がないことでもある。
それを踏まえて、塗装でメッキのような効果が出せないかと思うのは自然な流れで、実際に可能ではある。ヘルメットなどで見かけるが、特殊な塗料となるので、価格も非常に高価だ。高いだけでなく、仕上がりが不安定で一定しないため、製品として成り立たせるのが非常に難しい。しかもメッキのように被膜は硬くないのも問題点だ。
実際、一時はけっこうなプロショップが提供していたが、最近では減ってしまっている。もし塗装でメッキのような効果が出せれば、新しい可能性が出てくるのは事実なので、今後に注目したい。