先代から踏襲したものは女神のマスコットとアンブレラのみ!
ロールス・ロイスは、高級セダン「ゴースト」をフルモデルチェンジした。イギリス本国での発表となり、日本市場でのローンチは、2020年内を予定しているという。
ロールス・ロイス ゴーストはロールス・ロイス116年の歴史で、もっとも多く販売されたモデル。新型の開発にあたり、今後10年間乗り続けてもらうため、顧客の意見を取り入れて開発。ロールス・ロイスを愛する多くの実業家や起業家は、ダイナミックかつ静粛性&快適性を両立する性能、そしてミニマリズムを極めたラグジュアリーサルーンを求めているという。その思いをとことん追求して開発された。デザインテーマはなんと、「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」だ。
従来モデルから受け継いでいるのは、ロールス・ロイスの象徴であるスピリット・オブ・エクスタシーとアンブレラのみ。それ以外、すなわちパワートレインをはじめすべてを新規開発しているという。
プラットフォームは、フラッグシップとなるファントムとプレミアムSUVのカリナンに採用している、スペースフレーム構造「アルミニウム・スペースフレーム・アーキテクチャー」。これにより、高い剛性と運動性能、そして優れた音響性能を実現している。6.75リッターV12エンジンをフロントアクスルの後方に搭載することで、クルマとして理想的な50:50の前後重量配分を可能とした。
ラグジュアリー空間を実現するべく、初代のグッドウッド・ゴーストよりも全長は89mm長い5546mmに、全幅も30mm拡大した1978mmとなっている。また、二重構造のバルクヘッドとフロア構造のパッケージングも大幅に変更されている。これらは搭載する四輪駆動システム、四輪操舵システム、そして設計を一新したプラナー・サスペンション・システムを搭載するためのもの。これにより、ロールス・ロイス伝統の「マジック・カーペット・ライド(魔法のじゅうたんのような乗り心地)」をさらに進化させることに成功している。
また、ロールス・ロイスがもつアルミニウムの専門知識を活用したことで、金属製上部構造は100%アルミニウム製となる。Aピラーからリヤエンドに向かって描く流麗なボディラインは、まるでコーチビルドされたシルバー・ドーンやシルバー・クラウドを彷彿とさせるシルエットを描いている。この美しいボディを実現するため、4人の職人が同時に手作業で溶接して作り上げるという。
搭載するパワーユニットは、6.75リッターのV12ツインターボ。ゴースト専用にエンジン特性マップを作成、最高出力は563馬力、最大トルク850N・mを実現。組み合わせる四輪駆動システムと四輪操舵システムが、確実に路面へ伝えて強烈なパフォーマンスを味わうことができる。最大トルクはアイドリングよりもわずか600rpmだけ高い1600rpmで発揮するため、ゆとりある力強い走りを披露する。
足まわりは、ロールス・ロイス伝統のマジック・カーペット・ライドをさらに進化させている。さらに進化させるべく、新設計した「プラナー・サスペンション・システム」を搭載。プラナーは完全に平らで水平な幾何学的平面を意味する言葉にちなんで命名されている。今回の新型ゴーストに搭載されるまで、10年間にわたって開発とテストを繰り返してきたという。
フロントサスペンションアッセンブリーの上部に世界初のアッパーウィッシュボーンダンパーを装着。さらに安定した乗り心地をもたらしてくれる。加えてこのシステムに連動して働くフラッグベアラーシステムは、カメラで前方の道路を読み取ることで、路面の変化をいち早く検知してサスペンションシステムを最適な状態で維持するよう制御する。
初代グッドウッド・ファントムが登場して以来、ロールス・ロイスオーナーはセルフクロージングドアの恩恵を受けてきた。ダッシュボードと、リヤドアのあるモデルはCピラーにも設置されるボタンを操作することで、ドアが閉まるというもの。今回はさらに、ドアを開ける際にもパワーアシストが行われるという。もちろん、降りてからドアを閉める際もボタンでワンタッチとなっている。
安全装備や最新のインフォテイメントシステムも搭載。照射距離600mのLEDレーザーヘッドライト、昼夜問わず歩行者を検知して警告する機能を備えたビジョンアシスト、パノラミックビュー/全方位視界/ヘリコプタービュー機能を持った4カメラシステム、アクティブクルーズコントロール、衝突警告、交差交通警告、車線逸脱/車線変更警告などを搭載。また、7×3インチ高解像度ヘッドアップディスプレイ、Wi-Fiホットスポット、自動駐車システムなども備えて、快適なドライブをサポートする。
外観や室内は、LEDなどの光を巧みに取り入れた、上質感と先進性を兼ね備えた優雅なスタイルを実現。フロントのラジエターグリル頂部の下に配置した20個のLEDが、グリルの内側のバーを淡く照らしてくれる。ボディラインも手作業による溶接のおかげで、流れを遮るシャットラインに邪魔されず、1枚の帆布のようななめらかなフォルムを実現。スピリット・オブ・エクスタシーも、新型ゴーストで初めてパネルラインに囲まれずに佇んでいる。
室内もエクステリア同様にミニマリズムを追求し、さらに上質なレザー/ウッド/メタルを厳選。1台あたり20枚のハーフハイドレザーは、厳しい品質管理を経て選別され、合計338枚のパネルすべてに用いられる。また、凝った複雑なステッチはあえて使用せず、長いステッチを完全にまっすぐに縫い上げている。また、ルーフには、850個を超える“小さな星”が散りばめられており、夜のドライブをムーディに演出する。
新型ゴーストは、現代の技術を惜しみなく投入した、まさに新世代のロールス・ロイス。日本のみならず、世界中のセレブたちを魅了していくことだろう。