ホンダや日産は軽自動車の販売比率が増えたことが原因か
2020年1〜7月における4輪車の国内販売状況を見ると、国内販売総数の31%をトヨタ車が占めた。小型/普通車に限れば(軽自動車を除くと)、48%に高まり、7月のみの集計では50%を超えた。
小型/普通車の登録台数ランキングも、2020年1〜7月は1位がトヨタ・ライズ、2位はトヨタ・カローラシリーズ、3位はトヨタ・ヤリスだ。ヤリスは2020年2月の発売だから、1〜7月の集計では不利になるが3位に入った。つまり小型/普通車の上位3車もトヨタが占めている。
ちなみに2010年のトヨタ比率は、国内販売総数で見ると32%で、今よりも少し多かった。小型/普通車は48%で今と同程度だ。1990年まで遡ると、トヨタ比率は国内販売総数で32%、小型/普通車に限ると42%だ。
このように国内販売総数に占めるトヨタ比率は、近年では横這いか若干減っているが、小型/普通車に限ると増加傾向にある。その理由は、トヨタがあまり扱わない軽自動車の販売比率が増えたからだ。新車販売台数に占める軽自動車比率は、1990年頃は25%だった。それが1998年になると、軽自動車の規格が今と同じ内容に改訂され、各メーカーから同時期に16車種の新型軽乗用車が発売されている。これをきっかけに2000年頃には軽自動車比率が30%を超えた。
その後も増加を続け、今では軽自動車比率が37%に達する。とくにホンダは、N-BOXの好調な売れ行きで国内販売の50%を上まわり、日産もルークスのフルモデルチェンジによって40%を超えた。そうなると小型/普通車の売れ行きは下がるから、小型/普通車ではトヨタ比率が50%に近付いた。
ホンダや日産は、軽自動車の販売比率が増えたことで、メーカーやブランドのイメージまで変わってきた。中高年齢層にとってのホンダは、スポーツカーの得意なメーカーだが、若い人たちにとっては違う。軽自動車+フィット+フリードの販売台数を合計すれば、国内で売られるホンダ車の75%だから「小さなクルマを作るメーカー」になった。
その結果、ステップワゴンのようなミドルサイズ以上の車種は売れ行きを下げてしまった。ホンダの小型/普通車の登録台数は、2010年は48万6000台だったが、2011年に先代N-BOXを発売すると急速に下がり始めて2019年は35万7000台であった。比率に換算すれば27%のマイナスだ。ホンダの小型車から軽自動車に乗り替えたユーザーもいるが、他メーカーに移った顧客も少なくない。新型車の投入を怠った日産も含めて、顧客離れが生じている。