クルマによってここまで差があるのはなぜ? シートの座面の高さが決まる要因とは (2/2ページ)

車両の床下はさまざまなパーツを収めるためにこだわっている

 近年は車種が違っても基本となるプラットフォームは共通性を持つ場合が多く、高いヒップポイントは座席をかさ上げすればできるが、低くしたい場合にはプラットフォームの構造自体が関りを持つ。

 クルマの土台となるプラットフォームは、年を追うごとに厳しさの増す衝突安全向上のため、前のバンパーから後ろのバンパーまで、ひとつの骨格が貫き通す構造をとるようになっている。一方、座席位置を下げたければ骨格部分が邪魔になる場合もある。衝突の衝撃をいかに無駄なく吸収・分散しながら、骨格の隙間に座席を低く設置できるか、しかも、エンジンの排出ガスの通り道である配管や、排出ガス浄化のための触媒を置く場所も考慮しなければならない。普段は目にすることのできないクルマの床下は、そのようないろいろな要求をいかに満たすか、工夫の塊でもある。

 ロードスターの例にもあるように、快適な弾力や確かな体の支持を行いながら、いかに座席を薄く作るかもヒップポイントに関わってくる。さらには、その座席の前後スライドを実現するシートレールの配置もうまく行わなければ、レール分のかさ上げにつながってしまう。またシートレールとプラットフォームの骨格との接合をしっかり行うことが、座席の固定に関わり、それによって走行中の手ごたえも変わってくる。

 理想的なヒップポイントを目指そうとしても、車体構造やさまざまな部品の配置などを総合して、最終的にヒップポイントの高さが定まることになる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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