「獰猛」なほどの加速性能を誇る!
市街地の走行ではエンジンが始動することはまずない。車速100km/hの高速走行でもエンジンは始動せず、WLTCモードで95kmの距離をEV走行できる。エンジンを始動させるにはもはや全開加速をするしかなく、高速道路の流入などで一気に全開加速させればシステム最高出力225kWが引き出され0-100km/h加速6.0秒の強烈な加速力を体感できる。
前輪を駆動するTHSIIに採用されるモーターは5NM型となり、それだけで134kW、270N・mの出力スペックを持たされている。全開加速を試みると前輪が空転するほどのパワーが放出され、背中がシートに沈み込むような、まるで高性能スポーツカーばりの加速力といえる。もちろんトラクションコントロールを装備しているので駆動輪が空転し続けることはないが、あえて若干の空転を許容させることでPHVのパワーをアピールしているのだという。ただこれほどの加速力を与えると車体姿勢がピッチングによりフロントが浮き気味となり、旋回加速では操舵性能に影響しアンダーステア傾向となる。フロントにアンチリフトジオメトリーを採用するなどして車体姿勢を安定化させることも今後求められそうだ。
RAV4 PHVにもTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)のGA-Kプラットフォームが採用され、車体中央フロア下に18.1kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載している。フロア下に格納したことで低重心化にも寄与し、ハンドリングは重厚感があり安定している。また燃料タンクは他のRAV4モデルと変わりなく55リッターを確保していて、航続可能距離はWLTCモードのEVモードとHVモードの合算で1316kmに達する。
特徴的なのは今回急速充電器に未対応としたことだ。充電は100〜200Vの家庭用電源に絞り、高速道路などに配置されている急速充電器では充電できない。これはBEV(バッテリーEV)のために急速充電施設をPHV車が占拠しないよう配慮したためで、結果として車体コストも抑えられるという。
車外への給電も当然可能で、100V1500Wまでの家電製品へ車内外問わず給電でき、災害時の緊急電源としての機能も期待できる。メインバッテリーを使い果たしてもエンジンで発電し給電し続けることができるのもPHVのいいところだ。
今年は新型コロナウイルスによる感染症問題に加え自然災害も例年以上に増えている。RAV4 PHVの頼もしい走破性能と非常時給電システムとしての有用性はRAV4の存在感をより一層高めていることは間違いない。
RAV4 PHVは月販売目標を300台として登場させられたが、発表と同時に注文が殺到し既に年内のバッテリー生産枠を超過。現在は一時的に受注を停止しているという。 購入希望者は受注再開を逃さないためにHPをまめにチェックするか販売店と相談したほうが良さそうだ。