複数の整備士が一気に作業するため費用は高くなりがちだ
そしてもうひとつは新車に近いということ。最近のクルマはかなり壊れにくいため、比較的新しい年式であれば、点検だけで終了することができる。車検項目で一番手間がかかるブレーキの分解も、新車に近ければドラムが固着して外れないなどもなく、それほど時間もかからない。ちなみにスピード車検の場合、ひとりの整備士が担当するのではなく、複数が一気に作業することが多いので、この点でもスピードは上がる。
また、車検時に同時に行なう作業として、オイルやフィルターなどの消耗品交換があるが、こちらは規格品なので在庫しておいても、場所を取ることはないし、回転は早いので不良在庫になることもない。オイルなどは幅広いクルマに使えるので、在庫しているのは当たり前だ。
もちろん、突然の不具合があれば、スピード車検での対応は中止して、ユーザーに告げたうえで、整備や修理を時間かけたうえで一般的な時間で車検を通すようにするのは当たり前のこと。わからないから適当にやっているかも、と思うかもしれないが、複数の業者に聞いたところ、異口同音に「最近はとくに抜き打ちで検査があるから、不正はできない」と言うし、「本当に突然やってくる」とのこと。
本来許されている、車検だけ通して整備は後に行なう、いわゆる前車検後整備も実際は禁止に近いという。見つかった場合は認証取り消しなどの重たい処分が下されるから、以前に比べると不正はかなり減ったと思っていい。
気になる費用は、一般的な車検よりも高くなることがほとんど。複数の整備士が一気に作業するので当然といえば当然で、依頼する際には費用も含めて、一般的な車検にするか、スピード車検にするか、しっかりと考えたほうがいいだろう。
最後に新しい車検証やステッカーをどうするかだが、これらは後日郵送されてくる。さすがに民間車検工場内で発行はできないので、受検書類を陸運局に持ち込んで発行してもらい、ユーザーに郵送する形となる。たまに見かける、ステッカー部分に小さな書類を貼っているクルマを見かけるが、あれは車検証などが届くまで、車検をパスしていることを示すもので、ステッカーが到着すれば当然、貼り替えなくてはならない。