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クルマを「壊す」との声もあった! 超速操作のギヤチェンジ「中谷シフト」の秘密 (1/2ページ)

クルマを「壊す」との声もあった! 超速操作のギヤチェンジ「中谷シフト」の秘密

シフトチェンジ操作における駆動力ロスはレースでは無視できない

「ベストモータリング」ビデオは車載カメラを駆使し、ドライバーのステアリングやペダルワークなどあらゆる操作を見ることができるという点において画期的だった。そのなかで、僕が行っていた激速のシフト操作が話題となり、スーパーシフトとかマシンガンシフトなどと呼ばれるようになったのだ。まさに目にも留まらぬ早業で、いろいろな分析がされ、多くの意見もだされた。今回はそんな「中谷シフト」がいかにして生まれたのかをお伝えしたいと思う。

 中谷シフトはレースを通じて生まれたレーシングテクニックのひとつだ。速さを競うレースではいかに長い時間アクセルを踏み続けクルマを前に進めるのかが重要だ。マニュアルトランスミッション(MT)車ではギヤごとに車速が高まりエンジン回転ピークに達したら次のギヤにシフトアップしなければならない。通常ならアクセルを緩めつつクラッチを切り、シフトレバーを操作してギヤチェンジ。クラッチを繋いでふたたびアクセルを踏み込むといった手順となる。

  

 つまりシフト操作が完了するまではアクセルオフの状態となっていて駆動力がかからない。高速であればあるほど空気抵抗や様々な抵抗力が加わり、このシフトチェンジ操作における駆動力ロスは無視できないのだ。それを感じたのは富士スピードウェイでミラージュのワンメイクレースに参加した時の事だった。富士スピードウェイはご存知のとおり直線が1.5kmと長く車速も高い。

 ワンメイクレースで性能の均一なクルマ同士だと最高速に差がほとんどなくスリップストリームを使ってもなかなか追い越せなかった。

 しかし、どのクルマも同じギヤ比で走っているので最終コーナーで3→4速へ、ストレート中程で4→5速へと2回ほどシフトアップ操作が必要になる。そこで、可能な限り早く操作すればアクセルオフ時間を短縮できると考えたわけだ。だがミラージュも含め通常の乗用車のMTにはシンクロギヤが組み込まれている。

 クラッチが切れる前にシフト操作すればギヤやシンクロを痛めるし、シフト操作をミスれば追い越されてしまう。素早く、しかし慎重に実行する必要があったが、うまくシフトできれば追い抜きに有効なことも確かめられた。

 あまりに素早いシフトはシンクロギヤを酷使し痛めてしまうリスクも高い。だから予選のアタック時やレースの追い抜き時に特化して使うようにしていたのだ。

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