中継に映るのは氷山の一角! たった2台の「F1マシン」を走らせるのに関わる衝撃のスタッフ人数とは

コロナ禍でF1スタッフの人数が制限されている

 新型コロナの影響で、無観客試合が続いている今年のF1。開催に当たり、現地で働く各チームのスタッフにも人数制限が課せられ、1チームのスタッフは80名に制限された。

 これまでは、チームの規模にもよるが、1チーム200人前後が現地入りしていたので、これでも大幅な人数制限となっている。ちなみに、このうち2台のF1マシンの運用に関与できるのは各チーム60人以下で、これは制限前から変わらない。

 あとは、広報、セキュリティ、ホスピタリティ、輸送、スポンサー関係、パーツサプライヤーといった面々が出入りするし、現地以外でも、チームの本拠地でマシンの開発、研究、アップデート、広報、経理、事務関係を行っているスタッフもF1チームの一員といえる。

 その人数はチームによって異なるが、例えば、名門マクラーレンは今年5月コロナ禍の影響で構造改革を強いられ、マクラーレン・グループ全体で約4000人の従業員のうち約1200人を解雇すると発表。もちろん4000人がF1と関わっているわけではないが、F1部門だけでも70人ほどリストラになる見通しと伝えられている。

 もっとわかりやすい例でいえば、レッドブルレーシング。コロナ禍でSTAY HOME中だった5月にマックス・フェルスタッペンがチーム全員とZOOM会議を行ったとき、そのメンバーが800人だったと伝えられている。このことから、レッドブルレーシングクラスのF1チームで、スタッフの総勢は約800人といえるだろう。

 さらにレッドブルレーシングにパワーユニットを提供しているホンダの場合、レースウィークに現地で働くスタッフの他に、日本のHRD-Sakura、イギリスのHRD-UKにもF1のPUの開発に関わるメンバーがいて、総勢数百人(700人前後)といわれている。

 これは、現在のF1のPUが複雑なハイブリットターボになったため。ホンダの第3期F1参戦の時に比べると、PUを管理している人数はトータルで3~4倍ほどに膨らんだという。したがって「レッドブル ホンダ」という括りで見れば、チーム全体でF1に関わっているスタッフはおよそ1500人。

 メルセデスAMGやフェラーリ、ルノーのように、シャシーとPUのどちらも自社で開発しているワークスチームは、おそらく同等の規模だと思われる。

 そしてカスタマーのPUを使用する中堅チームは400人前後、小規模なチームになると200人前後で回しているかもしれない……。

 世界を転戦し、レース間隔も短いF1だけにチームの規模も大きく、一人一人の役割は重いが、それぞれ世界のトップクラスのパフォーマンスを誇るスタッフが集まって、今日もチャンピオンシップを争っているのだ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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