車体の中心に搭載したバッテリーは走りの良さにも貢献
ちなみに、駆動系はAWDから2WD(FF)へと変更された。そこはどうなのよ!? と思うが、元来ボルボは2WD(FF)でもリヤタイヤの接地安定性はずば抜けて高い。よほど酷い泥濘地やシャーシが底付きする新雪からの脱出はともかく、通常の氷雪上はスタッドレスタイヤを履けば2WD(FF)で問題なく行ける。
搭載するリチウムイオンバッテリー容量は10.91kWh、重量は94kg増加するが、現行T5 AWDの1710kgに対してT5 RPHEVは1810kg。前後重量配分はほぼ変わらないまま、バッテリーをいわゆるセンタートンネル部に搭載することで、クルマのまさに中心に荷重が掛かる状態の重量増加になる。
それが関係してか、高速走行中のニュートラルの収まりの良さはAWDを上まわる安定感を感じさせる。同様にコーナリングもステアリング操作の速度と舵角に忠実かつ正確に前後のタイヤも追従。ジワッと曲がり始める応答性と、ニュートラルな特性に、元々PHEV搭載を想定して開発されたシャーシの完成度の高さが伺える。
ドライブモードはモーター走行最優先の「Pure」とエンジンとモーターを常時使用する「Power」があるが、通常デフォルトの「Hybrid」か無音のモーター走行で心休まる「Pure」で十分事足りる。モーター走行は7速DCTの2速で常用域をまかない、90km/h付近で4速にシフトアップして高速域をグンと伸ばして電費も稼ぐ。
ハイブリッドと言えば気になるのはブレーキ。通常のエンジン車よりPHEVはブレーキペダルの踏力を必要とするが、それはごく自然な変化。
Dレンジからシフトレバーをワンクリック引くと「Bレンジ」に入る、いわゆる回生力が強まり減速もする。「B」に入れた瞬間にブレーキペダルの遊びが詰まり回生力の強まりと同時に、より踏力で止める感触に変化する。その変化は要改善を望むが、一般ユーザーの手に渡る2021年モデルですでに変更されている可能性もあり、そこは間もなく上陸する2021年モデルを楽しみにしたい。
ステアリングに備わるパドルが消滅するボルボ!! PHEVからすでにパドルはなく、マニュアル操作はBレンジからシフトレバーを左右にクリック。レバーを左に1回クリックするとシフトダウン。右に1回クリックでシフトアップ。回生の強弱というよりダウンシフトの効果が感じられる。
何はともあれ、モーター好きには刺さりまくりのXC40リチャージプラグインハイブリッドT5。XC40の過去最高価格帯になる649万円に腰が引ける。だがエコカー減税とCEV補助金合わせて41万円を引くと、48Vマイルドハイブリッドの最強版、XC40 B5 AWD Rデザインの589万円に近い存在になる。
2018年式XC40 T5 AWD Rデザインを所有して2年目が過ぎた。リチャージプラグインハイブリッドT5……悩ましい1台が誕生してしまった!!