スポーツ性やSUVの走破性を高めるためモードが用意されることも
最近のクルマには電子制御が多く採用されていて、その設定を変更するための「ドライブモード選択スイッチ」といった類いの装備が備わっているものが多い。一般的な乗用モデルだと「ECO(エコ)」「NORMAL(ノーマル)」「SPORT(スポーツ)」といった3パターンであることが多く、ハイパワーでスポーツ性の高いモデルだと加えて「RACE(レース)」「TRACK(トラック)」「CORSA(コルサ)」などサーキット走行に特化したモードが備わる。
さらにSUV車の走破性を高める目的で「SNOW(スノー)」や「OFFROAD(オフロード)」などのモード設定が見られる。さっと書き出しただけで8種類もモードがあるわけだが、これらがどんな装置で、いつどのように使うのがいいのか、ということを正しく理解している人は意外と少ない。
クルマのエンジンを始動させる。あるいはHV(ハイブリッド)車やEV(電気自動車)なら起動した状態であらかじめ設定されているモードをDEFAULT(デフォルト)モードと呼ぶ。一般的にはノーマルモードがデフォルトモードの場合が多いが、燃費を重視するモデルではエコモードになっている場合もある。これは国土交通省の燃費審査がデフォルトモードで行われる決まりがあったためだ。
電子制御は当初ABS(アンチロックブレーキシステム)からはじまり、TC(トラクションコントロール)、EBD(電子制御ブレーキ配分)などへと進化していく。またこれらを統括して制御するのがESP(電子制御スタビリティプログラム)やASC(アンチスリップコントロール)などだ。これらは車輪に取り付けられた車輪速センサーから信号を得て、4輪のブレーキ液圧制御やエンジンスロットルコントロールを行うものだった。雪道などで車輪がスタックしてまった時の緊急脱出用にトラクションコントロールには「オフ」機能が備えられるのが一般的で、サーキット走行やドリフト走行を行う時は最初にTCをオフにすることが当時の作法となっていた。
現代の「スポーツ」や「レース」「コルサ」などのモードではTCの介入強度を弱めたり完全オフとすることが盛り込まれ、TCオフスイッチを廃するモデルも増えている。