各モデルの納期の差も販売台数に影響している
5月の時点では、生産や流通の滞りもあり、ダイハツ・タントの届け出台数は前年に比べて77.4%、スズキ・スペーシアも67.2%減った。この状況が回復して、新型車になるスズキ・ハスラーやダイハツ・タフトの販売増加もあり、軽自動車は需要を早期に回復できた。
一方、小型/普通車は、軽自動車に比べて納期が長い。とくに7月に小型/普通車の登録台数ランキングで1位になったトヨタ・ヤリス、2位のトヨタ・ライズは、両車ともに現時点でも納期が3か月を要する。同ランキングで3位のトヨタ・ハリアーは大半の納期が4か月で、上級グレードのZは6〜8か月だ。最長の場合、2020年8月に契約しても納車は2021年の4月頃になる。
このような状況だから、7月に登録されたヤリスやライズは、緊急事態宣言の発令で外出を自粛していた4月に契約された。登録台数の多い新型車の納期が長いために、小型/普通車は需要の回復も遅い。
この違いは、カテゴリー別の対前年比を時系列で振り返ると良くわかる。2020年4月の対前年比は、軽自動車が35.5%の減少で、小型/普通車は25.5%と落ち込みが小さかった。この時期に登録された人気車のヤリスやフィットは、2020年1月の予約受注で契約され、コロナ禍の影響も受けていなかったからだ。
その点で軽自動車は、納期が短いから、緊急事態宣言の影響を即座に受けた。従って軽自動車は対前年比の落ち込みも大きい。5月になると、小型/普通車も40.2%減ったが、軽自動車はさらに多く52.7%の減少だった。
それが6月に入ると、来店者も戻り始めて軽自動車のマイナスは17.3%と小さくなったが、小型/普通車は納期の違いで26%の減少が続いた。7月は前述のように軽自動車の減少は1.1%に収まったが、小型/普通車は依然として20.4%のマイナスだ。
以上のようにコロナ禍による対前年比の落ち込みには、過去1年以内に発売された新型車の動向、新車の納期など、いろいろな事情が影響を与えている。