緻密な制御が可能になり自然なフィーリングに
話をHVのブレーキの感触に戻すと、トヨタとブレーキ部品会社は共同でブレーキ・バイ・ワイヤーの開発を続けており、現在の4代目プリウスに搭載されている装置はすでに6世代目へ進化している。
どこまで回生を活かし、どこからフットブレーキを介入させるかという制御をより精密で緻密に行う知見の積み重ねがある。さらに、その制御に対し、フットブレーキをどれくらい働かせるかという実際の動きをつくる作動装置(アクチュエータ)に、自然な感触を行えるきめ細かな改良が施されている。たとえば、200気圧という高い油圧を、0.1ミリメートルという極小のバルブ移動量で調整することを可能にしているのだ。
じつは回生は、充電が進むにつれてバッテリー充電量が増えると、発電を減らしていく。つまり、回生による減速は弱まっていく。それとともにフットブレーキの効きを高めていかなければならないので、非常に繊細な制御とブレーキの利かせ方が自然な感触を実現しているのである。制御の仕方と、それを実行する油圧装置との両方の進化により、HVの自然な減速感覚が実現しているのである。