やっぱり復活すべき! 「EVとSUV」の選択と集中で「三菱パジェロ」の生きる道はある (1/2ページ)

主力をEVとSUVに絞る選択と集中を進めている

 三菱自動車工業のパジェロが、国内向けの生産を止めてから1年が経つ。いまだにそのことが信じられないほど、パジェロが残した軌跡は大きい。

 国内市場でRV(レクリエイショナル・ヴィークル)ブームを1980年代初頭に起こしたのは、パジェロであり、いすゞビッグホーンだった。そのビッグホーンもいまや知る人さえ減っているのではないか。今日ではSUV(スポーツ多目的車)ブームが新車市場を活気づけているが、40年近く前にパジェロやビッグホーンによって、今と似た状況があったのである。

 三菱自は、リコール隠し問題以降、不祥事が重なって十分な新車開発をしにくい状況が続いた。そして、日産・ルノーの連合との提携によって今日を迎えている。その間、経営の合理化のため、主力を電気自動車(EV)とSUVに絞る選択と集中を行っている。当然、SUVのなかにはパジェロも含まれるはずだが、本格的悪路走破性が特徴のクルマだけに、逆に生き残りが難しくなってしまったのかもしれない。

 EVとSUVへの絞り込みのなかで、それを象徴するのがアウトランダーPHEVだ。ガソリンエンジン車で誕生し、のちにi-MiEVの電気駆動機構を活用することにより誕生した。軽自動車のEV技術が、3ナンバーのSUVでも活かせることをアウトランダーPHEVは示し、そのことは、三菱自の技術者さえ驚かせたようだ。電動化の適用範囲の広さを象徴している。

 それならば、パジェロも電動化によって生き延びる道はなくはなかったかもしれない。三菱自は、パジェロやランサーエボリューションを通じ、電子制御を活用した4輪駆動制御で先進技術を誇ってきた。電子制御を活用するのであれば、エンジンよりモーターのほうが何倍も速い応答性があり、より緻密な4輪駆動制御を確立できただろう。ことに、アウトランダーPHEVの電動系のように、モーター走行を基軸としてエンジンは発電用に使うハイブリッド方式であれば、電動化の利点をいっそう4輪駆動制御に活かせる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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