「シボレー」「ビュイック」「キャデラック」など最盛期は8ブランド! GMが1メーカーで多ブランドをもつ理由 (2/2ページ)

新しい試みに挑戦するも次第に業績は悪化……

 90年代にGMが試みたのが、新しいブランド構築だ。ひとつは、サターン。小型車の企画で日本メーカーに先を越されるなか、メーカーとユーザー、メーカーとディーラーとの新しい関係性を模索した動きだった。

 さらに、「H1」を製造したAMゼネラルからハマーブランドを買い取るかたちで、シボレー「タホ」などの兄弟車として「H2」が世界的なヒットを飛ばした。

 だが、サターンもハマーも、アメリカ社会のなかではマイナーな存在であり続け、収益性も徐々に悪化。リーマンショック後の事業再生に伴うブランド数半減のなかに組み込まれてしまった。

 GM以外にも、新しいブランド戦略を試みたものの、道半ばでその使命を終えたケースがある。例えば、トヨタのサイオン。90年代末から2000年代初頭に全米に広まった、日本車改造ブームを背景として立ち上り、既存トヨタディーラー内での販売を展開するも、次の一手がなく消滅した。

 では、アメリカにおける自動車メーカーの多ブランドは今度どうなるのか?

 例えばハマーがGMCブランドでのEV(電気自動車)として復活することが確定しているなど、これまでになかったブランドとモデル名の使い分けが盛んになるかもしれない。

 EVのみならず、ガソリン車でも車体(プラットフォーム)に加えてボディ全体での共有化による兄弟車戦略が、世界的な主流になりそうだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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