今やお宝扱いの「AE86」! まったく特別じゃなかった「新車現役時代」の立ち位置とは (2/2ページ)

後継車のAE92がFFになると価格が上昇

 チューニングといっても純正オプションの2ピニLSDかTRDの4ピニLSDを入れて、カヤバあたりのちょっと硬いダンパーを入れて、ブレーキとライト、ステアリングを交換すれば、もう立派な走り屋仕様のできあがり。

 ベースは、リヤがドラムブレーキ(サイドブレーキがよく利く)で、ボディ剛性が高い2ドアの「GT」が硬派で、パワステなしのクイックなハンドリング(ステアリングギアのロックトゥロックが3.0回転)で、バネとスタビがちょっとだけハードだった「GTV」の3ドアが一番人気。GT APEXは豪華仕様(?)と思われていた。

 ただ、いずれにしてもノーマルではかなりアンダーステアが強かったので、FRスポーツというイメージとはちょっと違ったかもしれない。

 たくさん売れて、中古車も多かったので、峠でぶつけたり壊したりしたら、解体屋でパーツを買ってきて直したり、程度のよい中古車に安価で気やすく乗り換えることができたので、あまり大事に乗っている人は多くなかったという印象がある。

 一方で、モータースポーツではフレッシュマンレースからグループA、全日本ラリーに、ジムカーナ、ダートラとオールマイティに活躍し、ストリートから競技まで、AE86で腕を磨いたというドライバーは数え切れない。

 そして、後継車のAE92がFFになることになり、1.6リッタークラス最後のFRスポーツとして、AE86の価値がどんどん特別なものになっていった。

 スペック的には何もたいしたことがなかったが、あの時代にあの価格であの台数が出回っていたのは、日本のクルマ好きにとって本当に幸せなことだったといえるだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
趣味
-
好きな有名人
-

新着情報