これだけ「リチウムイオン電池」が出回っているのになぜ? クルマが100年前からある「鉛バッテリー」を使うワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■鉛バッテリーは20世紀初頭からの長い歴史を持つ

■現在も鉛はクルマ用のバッテリーとしてもっとも多く使われている

■リチウムイオンバッテリーの普及が進むなか、鉛バッテリーが使われ続ける理由を解説する

20世紀初頭にはすでに鉛バッテリーが使われていた

 鉛は、人間が古くから使ってきた金属のひとつだ。紀元前6400年(いまから8000年以上前)ごろに、現在のトルコでビーズに使われていたり、紀元前3000~4000年の古代エジプトで装飾品や漁業の網の錘として使われたりしていたと伝えられる。

 現在も、世界的に資源を手に入れることができ、その価格は安定している。20世紀初頭に電気自動車(EV)が一時的に広がりを見せようとした際に使われたのも、鉛酸バッテリーだった。現在も鉛は、クルマ用のバッテリーとしてもっとも多く使われているという。また使用後の鉛も、ほぼすべてがリサイクルされている。

 鉛酸バッテリー(一般的には鉛バッテリーと呼ばれている)は、そのように100年以上の歴史のなかで安定的な供給と信頼耐久性、そしてリサイクルというように、人間が使い慣れ、使い尽くせるバッテリーなのである。

 これに対し、携帯電話やEVで必要不可欠となっているリチウムイオンバッテリーは、ノーベル賞を受賞した吉野 彰氏が実用化の道を拓き、1991年にソニーが商品化した新しいバッテリーで、性能は高いが、価格も高い。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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