三菱自動車は大幅な固定費の削減を発表した
スモール・バット・ビューティフル。
三菱自動車工業は2020〜2022年度の中期経営計画を、そう名付けた。ここでのスモールとは、得意分野への「選択と集中」を意味する。これまで行ってきた、世界各地に向けたさまざまなモデル展開という全方位への拡大戦略から、地域とモデルを絞った体制へと一気にシフトする。
それに伴い、コスト改革を行う。具体的には、固定費を前年比20%カットする。人員の再配置、希望退職制度など、間接員労務費の削減。マーケティング戦略の見直し。また、製造体制再編に伴い、パジェロ製造の生産を停止することになった。
今回のパジェロ製造工場の生産中止は、新型コロナウイルス感染拡大が直接的に影響したとは言い切れない。ルノー日産三菱アライアンスにおいて、コロナ前から日産の事業立て直しが急務であり、それに関連付けて三菱自動車との新たなる連携方法が模索されてきたからだ。
とはいえ、第1四半期(2020年4〜6月)は日産、三菱ともに新型コロナ影響で販売台数は激減しており、事業再編が加速していることは確かだ。
その上で、日産スペイン工場の閉鎖について地元労働組合など関係者との意見調整が長引く可能性が出てきた。先行き不透明な社会情勢のなか、産業での雇用を維持することの重要性が世界的に高まっている。