一部を除いてWLTCモードと実用燃費の乖離は少なくなっている
カタログに掲載される燃費の測定方法はここ20年で10・15モード、JC08モード、走行パターンごとの燃費も測定されるWLTCモードと変わっている。10・15モードだった10年ほど前は「カタログ燃費と実用燃費との乖離が大きい」とよく言われたものだが、現在はどうなっているのだろう?
結論をいえば「燃費は走行シーンや運転の仕方などによって大きく変わるもの」という前提も必要だが、一部のパワートレインを除くとWLTCモード燃費と実用燃費の乖離はだいぶ少なくなっている。
筆者はいろいろなクルマの燃費を走行パターンごとにそれなりの距離がある同じコースをごく普通に走って計測していた経験があるが、ここ1、2年で登場したモデルの燃費はWLTCモードの90%以上、クルマによってはWLTCモードを超えることも珍しくないという傾向だ。
その理由として挙げられるのは、WLTCモード燃費は総合、高速道路、郊外路、市街地という走行パターンごとの燃費が計測されるのに加え、
・重量がJC08モードの「車重+110kg(乗員2人分想定)」に対し、WLTCモードは「車重+100kg(乗員1人+手荷物の想定)+積載可能重量の15%」と重くなっている
・測定モードごとの最高速度や平均速度が高くなっている
・JC08モードはエンジンが暖機されていないコールドスタートでの燃費測定の比率が25%だったのに対し、WLTCモードは全走行パターンコールドスタートからの燃費計測となる
といったことが挙げられる。
つまり、WLTCモード燃費はより実用に近い、厳しい条件での燃費測定なので「カタログ燃費と実用燃費との乖離が少ない」というワケである。
前述したWLTCモード燃費と実用燃費の乖離が小さくない一部のパワートレインというのは
・WLTCモード燃費が30km/Lを超える極端に燃費のいいハイブリッドカー
・電気自動車
だ。この2つのパワートレインは前者がWLTCモード燃費の80%程度(それでも25km/L以上の燃費は期待していいのだから強烈だ)、後者も電費と新車時の航続距離はWLTCモード燃費の80%程度(航続距離は年数、走行距離といった使用によるバッテリーの劣化で低下するため)が実用燃費&電費、航続距離の目安だ。
いずれにしても燃費の計測方法がWLTCモードとなったことで、カタログ燃費と実用燃費の乖離が少なくなり、走行パターンごとの燃費もカタログに掲載されるようになったのは歓迎すべきことだ。