他車にイラッとしても「執拗にあおる」のは人として未熟! 「あおり運転」をしがちな人がすべき対策とは (2/2ページ)

日本人は「肚腰文化」を取り戻すべき!

 もう一つは、身体性の問題。古来、日本人の身体文化は『肚腰文化』といわれてきた。「肚(はら)が据わった人」「腰を据えた人」が理想型だったが、現代の多くの日本人は、その大事な『肚』をなくしてしまったようだ。

 身体論的にいえば、人の怒りの段階には三つの段階がある。

 普段、何でもないときは意識が下腹部の臍下丹田=肚に収まっている。それが何かの刺激で怒ると、『腹が立つ』。つまりヘソの下から、胃の方に意識がムカムカと立ち上がってくる。それでも怒りが収まらないと、意識はさらに上昇し『頭にくる』。頭で収まりきらないと、頭部の上にはもう身体が残っていないので、怒髪衝天、いわゆる『キレる』状態に!

 あおり運転をするような輩は、普段からすでに『肚』の意識は失っていて『頭にきている』のがデフォルトの状態。『頭にきている』状態でハンドルを握っているので、ちょっとでも「不快だ」と思うと、キレてしまい、我を忘れて、煽り運転をはじめてしまったのではないだろうか。

 では、こうした怒りの感情はどう向き合って、どう制御すればいいのか。

 アンガーマネージメントの分野では、『6秒ルール』という言葉をよく聞く。

 人間が怒りを覚えるとき、脳内では興奮物質のアドレナリンが激しく分泌され、 それにより興奮し、冷静さを失ってしまう。しかし、このアドレナリン分泌のピークは、怒りを発してから6秒後と言われ、その最初の6秒間をやり過ごしてしまえば、その後は徐々に冷静さを取り戻すことができるという考え方のことだ。

 とはいえ、その「最初の6秒をやり過ごす」ことはなかなか容易ではないのはご存じのとおり……。

 そういう意味で、根本的にあおり運転をなくすには、座禅や伝統的な武道の修行に取り組んで、肚を練り直すのが一番ではないだろうか。お腹まわりの余計な脂肪は減らすべきだが、お腹の内側は肚の据わった『太っ腹』な人間こそが理想。

 あおり運転の問題をきっかけに、日本人全体が『肚腰文化』を取り戻す努力をはじめる時期が来ているように思えてならない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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