なぜ消えねばならない? パジェロ「消滅の理由」と今後の三菱の「SUV攻勢」 (2/2ページ)

現行のSUVラインアップではパジェロファンは物足りず……

 そこで三菱の販売店にパジェロの終了について尋ねた。「最近のSUVの主力は、アウトランダーとエクリプスクロスだ。パジェロの売れ行きは大幅に減ったから、販売の終了も理解できるが、保有しているお客様は多い。そこでパジェロのお客さまに乗り替えを提案すると、アウトランダーやエクリプスクロスでは物足りないという。パジェロに代わる悪路走破力の高いSUVが求められている」。

 2020-2022年度中期経営計画によると、2020年度中にエクリプスクロスにPHEV(プラグインハイブリッド)を加え、2021年度には次期アウトランダー、2022年度には次期アウトランダーPHEVも加える。またアセアン向けのエクスパンダーやパジェロスポーツも、2023年度以降に次期型へフルモデルチェンジする予定だ。

 販売店も「2020年の10月から11月に、エクリプスクロスは一度販売を中断して改良(マイナーチェンジ)を行いPHEVも加える。アウトランダーは中断の後、フルモデルチェンジを実施する」という。つまり2021年に三菱のSUVは商品力を大幅に高めるわけだ。

 この勢いでパジェロも復活させてほしいが、無理な相談だろう。それならせめて、次期エクスパンダーやパジェロスポーツを国内にも導入してほしい。アセアン地域のクルマ作りでは安さが重要と思われがちだが、開発者は「この4〜5年でアセアン市場は大きく変わり、価格が少々高くても上質なクルマが求められている。安ければ売れる時代は終わった」という。それはいい換えれば、日本、北米、欧州などに通じる品質のアセアン向け商品を開発することだ。(写真は現行モデルのエクスパンダー)

 とくにパジェロスポーツは、後輪駆動ベースのオフロードSUVだから、パジェロの志を受け継いだ後継車種として国内でも販売してほしい。それは今でもパジェロを使い続ける人達に向けた、大切な配慮といえるだろう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
-

新着情報