充電制御をしなければコストダウンにつながる!
アイドリングストップだけではない。ヤリスやスイフトのカタログで「主要燃費向上対策」の項目を見ると「充電制御」という四字熟語を見ることもできない。充電制御というのは、バッテリーの状態を見ながら、適切にオルタネーターを働かせることでエンジンが発電する負担を減らし、結果として燃費を改善するというものだが、そのためには短時間で充電できる“充電受入性”が高い専用の鉛バッテリーが必要になる。
じつはアイドリングストップでも大容量の専用バッテリーが必要で、いずれにしてもバッテリーの交換コストが高くなる傾向にある。アイドリングストップも充電制御もなければ、シンプルな昔ながらのバッテリーで済むので、車両コストも下がるし、当然ランニングコストも下がる。わずかな燃費の違いであれば、トータルでの維持費は非アイドリングストップ・非充電制御のほうに軍配が上がる可能性もあるのだ。
車両価格とランニングコストの両面でお財布に優しいとなれば、それはユーザーメリットが大きいことになる。アイドリングストップが普及した当初は燃費性能の高さが評価されていたが、徐々にコストをきちんと見ることのできるユーザーのなかには「バッテリー交換を考えるとトータルではアイドリングストップ車は損」という認識もあるし、なかには「アイドリングストップをオフにしてバッテリーへの負担を軽減する」という使い方をしている人も少なくないという。ある意味、本末転倒状態となっている。
そうした市場トレンドをしっかりつかんでいるメーカーから、脱アイドリングストップが進んでいるともいえる。カタログ燃費がWLTCモードになり、アイドリングストップの効果が少なくなったことが大きなインセンティブになったのだろう。おそらく他社も追随して、アイドリングストップや充電制御の採用例が減っていく流れにあるといえそうだ。
<参考リンク>
https://www.mlit.go.jp/common/001191357.pdf