WLTCモードではアイドリング時間が短くなってしまう
ヤリスやカローラといった、最近フルモデルチェンジしたトヨタ車には、もちろんハイブリッド仕様が用意され、アイドリングストップをするが、ガソリン仕様のほうにはアイドリングストップ機能が用意されていなかったりする。ほかにもスズキ・スイフトも非ハイブリッドグレードにはアイドリングストップ機能がついていない。燃費を稼ぐにはアイドリングストップ機能は必須と思われていたが、ひそかにトレンドは変わっている。
なぜ、脱アイドリングストップが進んでいるのだろうか。
ひとつには、燃費(排ガス)計測モードがJC08から世界基準のWLTCモードに変わったことが挙げられる。国土交通省のリポートでも触れられているが、この二つのモードを比較したときのWLTCモードの特徴のひとつが『アイドリング時間比率の減少』にある。
計測モードにおいてアイドリングしている時間が短くなるということは、すなわちアイドリングストップによる燃費改善効果が減少するということである。メーカーは商品性として実燃費も重視しているので、モード燃費だけを見ているわけではないが、やはり目標としてモード燃費のターゲット値というものはあり、アイドリングストップを採用することで達成しやすくなるので、ついついアイドリングストップ機能をつけてしまうのは仕方がない。
とはいえ、アイドリングストップを実現するにはセルモーターの耐久性、よりタフなバッテリーなど車両側のコストが上がる傾向にある。アイドリングストップをせずとも目標の燃費が達成できるとなれば、そうしたコスト高の要因を省くことで、価格を下げるという商品力を手に入れることができるのだ。具体的な価格への反映度をはかるのは難しいが、とくにコンパクトカーであれば、たとえ1万円でも安くできればライバルと比べた際の商品力としてはプラスになる。
アイドリングストップを省いたとしても、カタログ燃費で十分に競争力のある数値が実現できるのであれば、その意味では省いたほうがオトクといえるのだ。