EVやハイブリッドが普及して音量の大きさがもっと目立つように
音量は、そのままエネルギーの大きさでもあり、マフラー交換でパワーアップするのなら、マフラーの抵抗を減らし(=音量大)、性能向上を図るのが定番だった。しかし上記の音量基準はかなり厳しく、保安基準内に収めるにはノーマルマフラーから音量を上げる余地はほとんどないのが実情。
たとえば、トヨタのGRスープラなどは、ノーマルエンジン・ノーマルマフラーでも、保安基準ギリギリの音量だったりする。おまけに最近ではサーキットでも、「ナンバー付き登録車両は、保安基準に適合する音量を遵守」というルールを採用しているところが多く(例:筑波サーキットなど)、公道以外でも音量の上限に関しては容赦ない!?
さらに、ハイブリッド車やEVが普及してきたこともあり、街なかを走るクルマが平均的に静かになり、住宅地や朝夕の時間帯により静かなクルマ、より静かなマフラーが好まれる傾向が増している……。
こうした実情を踏まえ、マフラーメーカー各社では排気抵抗を減らしつつ消音効果を上げるために、新しい消音材を開発したり、サイレンサーの容量を増やしたり、構造に工夫を凝らすことで保安基準をクリアしながら、排気効率を高めてパワーアップを可能にする新しいマフラーを開発。
同時に材料置換による軽量化やリヤビューのドレスアップ、そして音量より音質にこだわったマフラー作りに力を入れているところなので、こうした新しいマフラーを選べば、今でもマフラー交換のメリットは十分ある。
そうした工夫のなかには、触媒の直後のフランジ部にモーターで開閉できるバルブを設け、任意に音量を調整できるECV(エキゾーストコントロールバルブ)などもあり、このECVもメジャーになりつつある注目のアイテム(ECVだけ後付けするタイプもある)。ちなみに2010年4月1日以降に製造されたクルマの場合、インナーサイレンサーなどの消音器の取付は禁止となっているので要注意。
これからは大音量のサウンドを楽しむことはNGとなりそうだが、限られた音量のなかでも、オリジナルの音質やパワーアップ、ドレスアップといったマフラー交換の魅力そのものは失われることはないだろう。