自宅のリビングと繋がっているようなインテリア
続いてインテリアだが、Honda eのコンセプトのひとつである、家からクルマをシームレスに繋ぐという内容に基づき、自宅リビングのような空間を目指したという。
実際乗り込むと、なるほどと納得するような室内だ。2トーングレーのメランジ調ファブリックによるシートは、自宅のソファを思わせる人に優しい雰囲気。インパネは木目調となっていて、これまたリビングの家具を想像させるような色合いだ。
とくにインパネはクルマのデザインでは難しいと言われている水平基調なもので、平らなテーブルのような造形がとられており、これまでのクルマとは一線を画す雰囲気をもたらしてくれる。
それより何より衝撃を受けるのは、全面液晶といっていい表示部だ。メーターが液晶なのは多くのクルマで採用されているが、ドアミラー代わりの左右モニター、さらにメーターの左には12.3インチの横長液晶パネルがふたつ続いている。つまり、室内の端から端まですべて液晶パネルというわけだ。
2枚の液晶からなるワイドパネルは、簡単にいえば埋め込みのタブレット端末のようなもの。さまざまな専用アプリをダウンロードして使用したり、ナビゲーションや車両情報の表示はもちろん、動画を映し出したり好きな写真を壁紙に設定することも可能だ。操作はスマホやタブレットに慣れている人であればまったく違和感がないもので、ふたつの画面それぞれで好きな表示を行うことができる。たとえば助手席側では音楽を操作し、運転席側でナビを表示ということも可能だ。
もうひとつ、音声操作のHondaパーソナルアシスタントも装備されている。「オーケーホンダ」の発声で起動するこのシステムは、対人間に話しかけるような感覚でいろいろな操作をすることができるもの。たとえば天気を教えてもらったり、近辺のレストランを検索したりという具合だ。こうした音声認識システムは多くのクルマに搭載されているが、撮影車で試した限り、Honda eのそれはかなりの認識精度を誇っていたので「日常的に使用できる」ものだと感じた。
身長167cmの筆者に合わせた運転席の後ろに座ると、広々とは言わないが、十分な頭上空間と膝前スペースが確保されていた。一回の航続距離が200kmというHonda eの特性を考えれば、そこまで長時間の連続移動はない。これだけの広さがあれば十分だろう。
ちなみにリビング感は後席でも一緒で、天井には埋め込みのダウンライトが用意され、そのスイッチもデザインを損なわないようにピラー部に設けられるなど、リビングの延長という世界感の演出はバッチリだった。
ラゲッジは、フロアが高めなのはやや気になる点だが、RRレイアウトであることと考えれば妥当か。リヤシートの背もたれを倒せば、ラゲッジフロアとフラットになる点は使い勝手がいい。ただしリヤシートは一体可倒式なので、倒す場合はふたり乗りになってしまう。