どう考えても安すぎ! 「ひと桁万円」もある激安中古車のカラクリと品質の謎 (2/2ページ)

密を避けられる移動手段として需要は高まりつつある

 とはいえ、老婆心ながら心配になるのが儲けだ。別の知り合いの店では「クルマの出し入れが多いなど、近所の人には迷惑かけているから、近くに住んでいる人には原価に近い価格で売ってあげている」というところがあるが、これでも車検の手数料(激安車はほとんどが車検切れ)などで赤字にはならないと言う。

 普通に販売しているところでも、「数万円の利益乗せるられるし、諸費用などでも少し儲かる。最低限のメンテはするけど、問題ないところはそのままで済ませるから、納車整備は手間も費用もかからない。そもそもなんでもいいから足グルマが欲しいという人はけっこういるので、ウチみたいな郊外の土地の安いところで、家族経営なら十分食べていけるよ」ということになる。

 聞けば月に激安中古車は10台以上は売れるらしいので、1台3万円としても30万円。もちろんそのほかに、高いクルマもあるし、オイル交換などの依頼もあるので、それをプラスすれば食べてはいけるだろう。

 そんな地道な中古車店の店主が口を揃えるのが、「メーカーはクルマをドンドン出しすぎ。経営のためには仕方がないけど、壊れないんだから1台を長く大切に乗ればいいのに」ということ。冒頭で紹介したように丈夫だし、デザイン的にも昔ほどすぐに古くさくはならないので廃車にしづらい。だから、ドンドンと中古車市場に流れて、溢れ返っている状態。つまり飽和状態になっているという意見が現場には多い。

 ただ、ここ最近は新型コロナで密を避けられる移動手段として、クルマに注目が集まっていることもあり、相場全体が上がってきている。今後も、洪水で流された分の需要が高まると予想されているので、ヒトケタ中古車は減るかもしれない。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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