「コスト度外視」の装備が採用される奇跡! 市販車に使われるレーシングカー由来の「神技術」7選 (2/2ページ)

レーシングカーの「エアロダイナミクス」の応用も

4)電子制御デフ

 WRCでグループAのターボ・4WDの全盛期、フロント、センター、リヤの3つのデフをコンピュータで制御して、操縦性とスタビリティを自在にコントロールする電子制御デフが発達。

 市販車では、ランサーエボリューションのACDとAYCの組み合わせを始め、4WDだけでなく、FRのGRスープラでもデフを電子制御化することで、ハイレベルなハンドリングを実現させている。

5)フロア下のフラット化+リヤディフューザー

 今のレーシングカーの技術で、ダイレクトに市販車に役立つ技術と言えば空力と軽量化。どちらも環境性能と安全性に直結すし、とくに空力面では空気抵抗を減らし揚力をなくす、あるいはダウンフォースを与えるという方向に進んできている。

 市販車でも、ボディ下面の空気の流れを生かすためにフロア下をフラットにし、リヤオーバーハングにディフューザーを設けて流速を高め、ダウンフォースを稼ぐクルマが増えてきているが、これらはレーシングカーのエアロダイナミクスの応用だ。

6)カーボンセラミックブレーキ、大型キャリパー

 ハイパフォーマンスカーにブレンボなどの6ポッド、4ポッドの大容量のキャリパーを採用するのはレーシンクカーからの流れ。とくに剛性の高いモノブロックタイプはレーシングカーに近い。

 またスチール製に比べ圧倒的に軽く、熱容量も大きいカーボンセラミックローターもレーシングカーの技術を流用したもの。

◆その他

 他には、タイヤのユニディレクションパターンなどもレース用のウエットタイヤのパターンデザインと関連があるし、カーボン、チタン、ジュラルミンなどの軽くて強い高価な素材もレース用部品が先行。ホールド性の高いシートもレース用のシートと関係が深いし、ボディ剛性がハンドリングに与える影響などもレーシングカーから学んだことが多い。

 間接的な部分では、テレメーターの技術や各種のシミュレーション技術、CFD(Computational Fluid Dynamics:計算流体力学)による空力解析などは市販車の設計・開発にも大いに役立っているし、エンジンの制御技術などもレースで先行、のちに市販車に落とし込むというケースは珍しくない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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