クルマ以外のさまざまな分野にも進出し成果を上げ始めている
さらに、テスラはEVだけでなく、太陽光発電事業へも力を入れており、生活と移動の両面で排ガスゼロ化を推進している。またEVと相性のいい自動運転にも力を注ぎ、それに不可欠な情報通信分野においても、最新仕様の制御をダウンロードして車両に搭載することを始めている。移動サービス(MaaS)の分野では、自動運転のEVを活用した自社管理による配達事業なども構想に入っているという。こうした取り組みは、世界のどの自動車メーカーもテスラに太刀打ちできないといっていいのではないか。
また、燃料電池車(FCV)が普及しないのは、EVと同じモーター駆動で排出ガスゼロではあっても、社会構造の総合的な管理に組み込まれた電力網との効率化や安定供給に寄与できないためだ。クルマ単体で環境性能や優劣を評価する時代は終わっている。
環境のために単にクルマをEV化するという近視眼的な事業活動ではなく、EVであるからこそ広がる可能性を総合事業にまとめ、快適で幸福な未来の生活を包括的に求めようとする21世紀の総合企業として、テスラは時価総額を高めてきたのだと思う。
それに対し世界のほかの自動車メーカーは、EV化への道は進むにしても、従来のエンジン車の設備や従業員の雇用を一気に整理できないため、次第に時代に置いていかれる懸念を払拭しきれない。その時代は、あと10年もしないうちにやってくるのではないか。