2000年代にはセダンもSUVやミニバンにシェアを奪われた
クロカン4WDやステーションワゴンのブーム時にはさほど影響を受けなかったスポーツカーだが、結果的にミニバンの隆盛によって駆逐されたといえる。また、1995年前後といえば、トヨタRAV4やホンダCR-Vといった、こちらも乗用プラットフォームをベースとしたSUVが登場した時期である。
スポーツカーだけでなく1990年代初頭まではクルマの本流といわれていたセダン・カテゴリーも2000年が始まるころにはシェアは半減(77%→37%)してしまったわけだが、乗用プラットフォームからミニバンやSUVが生まれたことで、セダンとスポーツカーは市場から押しのけられたカタチとなってしまった。
ならばスポーツカーは完全に冬の時代となったかといえば、さにあらず。もともとメインストリームといえるほど数が出るカテゴリーではなく、むしろメーカーのイメージアップにプラスになるという意味合いが強かったのがスポーツカーだ。市場でのシェアが絞られたことで、よりピュアなスポーツカーや、突出した性能を持つスポーツカーを登場させやすい土壌ができていった。
というわけで、2020年現在に視点を戻せば、軽自動車には47kW(64馬力)のターボエンジンを積むホンダS660、ダイハツ・コペンといった2シーターオープンスポーツが設定され、マツダは1.5リッターエンジンのロードスターと2リッターエンジンのロードスターRFをラインアップ。ホンダは唯一無二の3モーター・ハイブリッド4WDのNSXを用意する。トヨタは86を復活させ、スープラも甦らせた。そして日産は最大441kW(600馬力)のパワーを持つGT-Rを筆頭に、フェアレディZを2年内にフルモデルチェンジすると発表している。
確かにスポーツカーは販売台数的には芳しい状況ではないが、けっして消えてしまったジャンルではない。ブランディングにもつながることもあり、各メーカーが力を入れるカテゴリーなのは変わっていない。