長年愛される本格4WDの代表格がジムニー
誕生から50年。1970年にラダーフレーム構造にパートタイム4WDを組み合わせて登場した初代ジムニー。約20年ぶりのフルモデルチェンジした現行4代目の解説やライバル比較などを中心に、ジムニーの魅力について紹介しよう。
いまだ衰えぬ人気! ジムニーの魅力とは
シンプルながら印象的なジムニーのデザイン
まず目を引くのが丸形ヘッドライトまで伸びる、横長のフロントグリル。原点回帰ともいうべき、2代目をオマージュしたかのようなデザインを採用している。箱型ボディが堅牢なイメージを演出し、軽自動車ながら力強さを感じさせる。
リヤビューは標準装着と同サイズのスペアタイヤを備え、万が一の際にも備える。今では少なくなってきたが、これぞオフロード車の雰囲気を味わえる演出でもある。バックドアは下から上に開けるタイプではなく左側から開く扉のような形状を採用する。
2ドアタイプのボディ形状なので、コンパクトさがさらに強調。キビキビと走ることを連想させる。まさに、機能美と呼べるようなルックスもファンから長く愛されるポイントのひとつといえるだろう。
コンパクトなボディでも大人がラクに座れるキャビン
インテリアは機能性を重視し、至ってシンプル。大人4人がゆったりと座れる空間が広がるが、リヤシートは簡素なタイプとなるので、実質大人ふたりが乗るという使い方がメインとなるだろう。後席を倒せば広々としたラゲッジルームに変身する。約352Lの大容量で、キャンプなどのアウトドア用品はもちろん、9.5インチのゴルフバックは横に2個搭載可能だ。
また、フロントシートのヘッドレストを外して倒せば、後席に座って足を伸ばすことが可能に。キャンプなどで休憩する際などにも活躍しそうだ。
軽自動車サイズが走りやすさにも貢献
ジムニーは軽自動車となるため、ボディサイズは登録車よりもコンパクト。全長3395mm×全幅1475mm×全高1725mmというサイズなので、森のなかといった険しい道でも、取り回しの良さが光る。
ボディサイズはコンパクトだが、最低地上高は205mm、アプローチアングルは41度、デパーチャーアングルは51度、ランプブレークオーバーアングルは28度。条件の厳しい悪路であっても、バンパーやアンダーボディなどが接触しないように考えられているのはさすがだ。
50年間愛される歴代ジムニーの魅力とは
1970年登場 初代
早川電機工業がシャープに社名変更、日本航空機よど号ハイジャック事件、故・植村直己氏がマッキンリー山に単独登頂した年にジムニーは誕生した。高い悪路走破性を実現するラダーフレーム構造にパートタイム4WDを組み合わせた。発売当時はリヤに簡易シートを備えた幌型3人乗りだったが、1972年にはバンタイプも追加設定されている。搭載するエンジンは25馬力を発揮する359ccの空冷2サイクル2気筒エンジン。トランスミッションは4速MTのみだ。
1981年登場 2代目
黒柳徹子氏の窓ぎわのトットちゃんによるトットちゃんブームが巻き起こり、ガリガリ君や雪見だいふくといった今も愛されるアイスが誕生した1981年。ジムニーは2代目に進化した。キャッチコピーは「Tough & Neat」で、幅広いユーザー層にアピールした。
初代が採用していたラダーフレーム構造やパートタイム4WDは継承。より乗用車に近いスタイリングが与えられている。4サイクルエンジンの搭載やターボエンジンの採用、そして現行規格となる660ccに排気量をアップするなど、着実に進化を遂げいている。2代目も4速MTのみとなっている。
1998年登場 3代目
この歳の流行語はハマの大魔神、凡人・軍人・変人、だっちゅーの。貴乃花と若乃花という初の兄弟横綱が誕生した1998年、ジムニーは3代目に進化した。新しい軽自動車規格に合わせるため、2代目からわずかにボディサイズが拡大し、衝突安全性なども考慮され、全体的に丸みを帯びたデザインが与えられた。
ラダーフレームは当時の最新技術を用いて進化。660ccターボエンジンや5速MT、4速ATを搭載している。幌型ボディはなくなり快適性などが高められ、より乗用車並みの快適性も兼ね備えるようになった。
兄弟車・ジムニーシエラとの違いは?
ジムニーには兄弟車として、ジムニーシエラが存在する。そのおもな違いは搭載するエンジン。直列3気筒0.66Lターボ(最高出力64馬力/最大トルク96N・m)となるジムニーに対し、ジムニーシエラは直列4気筒1.5L NAエンジン(最高出力102馬力/最大トルク130N・m)を搭載している。加えて、見た目にも異なるがのがワイド感をアップさせる樹脂製のオーバーフェンダーをはじめ、サイドアンダーガーニッシュや前後バンパーの形状が異る。ジムニーシエラはボディサイズの変更や排気量アップに伴い、軽自動車ではなく登録車扱いとなる。
そのほかには、ジムニーが16インチホイールを採用するのに対し、ジムニーシエラは15インチホイールを装着。それ以外、安全装備やユーティリティ性能に関しては、両車に大きな違いはない。ボディサイズに大きな違いがあるわけではないので、運転する際の取り回しなどに大きな違いはないだろう。しかし、エンジンに関してはジムニーシエラが搭載する1.5L直4NAのほうが、最高出力と最大トルクは勝っているので、走りに余裕がある。車両価格はどちらも最上級グレードの5速MTで比較すると、ジムニーが177万6500円、ジムニーシエラは195万8000円となる。
最新型となる4代目ジムニーの特徴
グレードによる違い
新型ジムニーはXC、XL,XGと3グレード用意されているが、装備の違いはあってもエンジンや4WDシステムなどは共通のため、ジムニーならではの走りはグレードによって違いはなし。上級グレードのXCには安全装備となるスズキ セーフティ サポートが標準装着となり、XLとXGはメーカーオプション扱いとなる。そのほかXCにはクルーズコントロールや本革巻きステアリングなど、上級装備が与えられている。
ジムニーの燃費
ジムニーはより実際の使い方に近いと言われるWLTCモードでの燃料消費率が公開されている。パワートレインは共通のためグレードによる違いはなし。5速MT、4速ATによって数値が異なってくる。
WLTCモード
5速MT 16.2km/L / 4速AT 13.2km/LWLTCモード 市街地モード(WLTC-L)
5速MT 14.6km/L / 4速AT 11.0km/LWLTCモード 郊外モード(WLTC-M)
5速MT 17.5km/L / 4速AT 13.9km/L
WLTCモード 高速道路モード(WLTC-H)
5速MT 16.5km/L / 4速AT 14.2km/L
先代モデルから大きく変わったポイント
FRレイアウトや機械式副変速機付きパートタイム4WDは先代から踏襲。同じく伝統のラダーフレームは新開発されている。X(エックス)メンバーと前後にクロスメンバーを加えたことで、剛性感をさらにアップ。先代モデルから約1.5倍のねじる剛性をもたせている。さらに、車体とラダーフレームをつなぐマウントゴムも新設計。高い悪路走破性を持ちながら、乗り心地の改善や優れた操縦安定性も確保している。
悪路などでの走破性を高めてくれる電子制御ブレーキLSDトラクションコントロールを全車標準装備。これは4L(低速)モードでの走行時、エンジントルクを落とさずに空転した車輪のみブレーキをかけ、もう一方の車輪の駆動力を確保するもの。これにより、ぬかるみなどからの高い脱出性能を発揮してくれる。基本的なシステムや構造は歴代モデルから受け継ぎながらも、最新の技術を投入して進化させているのだ。