優れていれば売れるとは限らない!
カテゴリー別の販売1位になる車種には「スター性」がある。外観を見た瞬間に、まず「感じの良いクルマだな」と目を引く。この後、車内に入って運転しても、第一印象を裏切らない。そこで好調な売れ行きに結び付く。その一方で優れた商品なのに、カテゴリー別1位を取れない車種もある。それは主にスター性が欠けて目を引かないからだ。
1)ダイハツ・タント(軽自動車)
軽自動車の場合、スター性を伴った販売1位はホンダN-BOXで、勝てないけれど良いクルマはタントだ。タントは外観が地味で、車内の広々感もN-BOXに負ける。
その代わり左側のピラー(柱)をスライドドアに内蔵させて、前後ともにドアを開くと開口幅が1490mmに広がる。子供をベビーカーに座らせた状態で車内に入ったり、高齢者の乗り降りもしやすい。この機能はN-BOXでは得られない。
そして助手席を前側に寄せ、運転席は後ろ側にスライドさせると、子供を後席のチャイルドシートに移した後、降車せずに運転席へ移動できる。この使い勝手もタントの特徴だ。
2)ホンダ・フィット(コンパクトカー)
今はコンパクトカーの販売1位はトヨタ・ヤリスだ。しかし実用性はフィットが勝る。燃料タンクを前席の下に搭載したので、荷室の床が低く、全高を立体駐車場が使える高さに抑えながら積載容量は十分に確保した。後席も広く足元空間はミドルサイズセダン並みだ。電動パーキングブレーキと併せて、全車速追従型クルーズコントロールも採用した。
一方ヤリスの後席は、フィットだけでなく前身のヴィッツと比べても狭い。荷室もリヤゲートを寝かせたから背の高い荷物を積みにくい。パーキングブレーキブレーキはレバー式で、クルーズコントロールは時速30km未満になると解除される。
その代わりヤリスは運転感覚が楽しいが、勝敗の原因はそこではない。フィットの一番の敗因は、N-BOXが好調に売れてN-WGNも伸びていることだ。今では国内で売られるホンダ車の半数以上が軽自動車になり、コンパクトカーのフィットはユーザーを奪われた。