ルールやマナーを守れば誰でも簡単に操作することができる
新型コロナウイルスの脅威が迫るなか、ご多分に漏れず、在宅勤務でほとんど家から出ることのない半引きこもり状態の編集部員、篠田。そんな私のもとに、上司からひとつの指令が下った。「久しぶりに新型車の取材か」と勝手に想像していた私は、そのあとに書かれていた文章を読んで椅子から転げ落ちそうになった。メールには「船外機の試乗取材」と書かれていたのだ。
船外機とは、船に装着する取り外しが可能な推進機関のことを指す。今回試乗するのはホンダ「BF2」という2馬力の船外機で、全長333cm以下のボートであれば船舶免許が不要なのが特徴だ。つまり、船の免許を持っていない私でも試乗することができる、というわけである。
しかしボートに乗ったことはあるものの、自分で操船したことなど人生で一度もない。昨年、取材で川下りした際には激しい川の流れに飲まれ、カヌーから何度も落ちて冷たい水を全身に被った経験のある私は、そのときの「にが〜い」記憶を思い出して思わず身震いした。
取材当日は小雨がぱらついていたものの、試乗への影響はないとのこと。船外機の説明を受けたあと、いよいよボートのもとへ。
ここでボートについてまったく知識を持ち合わせていなかった私はまた驚くことになる。今回使用するのはミニボートと呼ばれる種類の、小ぶりなゴムボートだったのだ。私が勝手に想像していたのはクルマでけん引するようなキャリアブルボートの類だったのだが、これなら私でも操作できるかも、と少し安堵した。
そして今回の主役であるBF2を持ってみると、意外と軽い! なにを隠そうこのBF2、4ストローク2馬力クラスの船外機で最軽量の13.6kgというのがウリのひとつ。小柄な私でもラクラク持つことができたので軽いことは間違いない。
ホンダのマリン事業部の方々と自動車評論家の国沢光宏さんサポートのもと、東京・江東区にある夢の島マリーナから運河へ、いざ出港!
安全な場所まで移動したあと、まずは操作方法のレクチャーを受けた。BF2はクラスで唯一の自動遠心クラッチを搭載している。これはバイクのようにスロットルグリップをひねることで出力の調整ができ、舵として左右に傾けることでボートも右へ左へと進んでいく。しかし、最初は傾ける方向とボートの向く方向が逆なので戸惑って壁に激突しにいきそうになり、波も多少あるため真っ直ぐ進む難しさも痛感した。
また、途中までは操作に夢中で右側通行というルールを知らず、真ん中を走行してしまう恥ずかしい場面も……。岸壁ギリギリまで寄る必要はないが、岸辺で釣りをしている人の糸に絡まないように注意が必要だということも学んだ。