ハリアーとRAV4の決定的な違いは荷室にある!
だが、問題(!?)はここから。アウトドア志向のRAV4と、都市型の新型ハリアーの決定的な違いは、パッケージ、それも荷室にある。新型ハリアーはボディを後ろから見ると一目瞭然で、美しく高級感あるクーペシルエットを追求したため、ボディのリヤセクションをギューっと絞り込んでいる。
そのため、荷室容量は先代ハリアーの456リットルに対して409リットルへと減少。RAV4がデッキボード下位置で580リットル(すべてVDA方式)だから、新型ハリアーの荷室はリヤボディの絞り込みによって、かなり容量減となっているのである。具体的には、先代ハリアーとRAV4がゴルフバッグ4セットを積み込み可能なのに対して、新型ハリアーは3個までとなる。
新型ハリアーでも余裕ある最低地上高によってアウトドアを楽しむことはできるが、後席使用でキャンプの大荷物などを積み込むとすれば、RAV4と新型ハリアーの荷室容量差171リットルは見逃せないチェックポイントとなりそうだ。
実測での両車の荷室寸法を紹介すると、RAV4は荷室フロア開口部地上高695mm、開口幅1130mm、開口高805mm、荷室フロア長1020mm、幅1150~1345mm、最低天井高805mm、床下収納あり、デッキボードの上下位置による容量可変が可能となる。
一方、新型ハリアーは荷室フロア開口部地上高800mm、開口幅1055mm、開口高700mm、荷室フロア長975mm、幅1240mm、最低天井高700mm、床下収納あり、となる。つまり、RAV4に対して荷室フロアが高く、開口部が狭く、フロアの長さ、幅、高さともにリードされるわけだ。それでも決して狭すぎる荷室ではないものの、重い荷物の出し入れの容易性にかかわるフロアの高さが実用上の差になりそうだ(ハリアーは、異例にもリヤバンパーにウインカーを内蔵しているのが、荷室が高くなった一因か)。
また、後席に家族や友達などのゲストを乗せる機会の多い人にとって気になる後席の居住空間にも違いがある。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、その背後に着座すると、新型ハリアー(パノラマルーフなし)は頭上に150mm、膝周りに200mmというスペースだ。RAV4になると、頭上に180mm、膝周りに210mmと、わずかとはいえ余裕がある。ちなみに両車ともにフロア中央に凸があるため、後席3人掛けは推奨しない。
走行性能面でも両車のキャラクター、旨味は異なる。RAV4であれば、オンロード・オフロードでの曲がりやすさやエンジン高回転での気持ち良さ、悪路にもめっぽう強い、全グレード中で唯一カッコいい2トーンカラーが選べる、ガソリン車のアドベンチャーグレード(4WD)がベストグレード、買いである。
新型ハリアーは逆に、高級サルーンを思わせる車内の静かさや、滑らかでスムースな走行性能が売りのHVを選ぶべきだと思える。ただし、HVでもFF、19インチタイヤ装着車の試乗経験では、乗り心地は硬めでゴツゴツ感が付きまとう。かといって、18インチタイヤは乗り心地面では明らかに上なのだが、路面によってロードノイズがけっこう大きめ。ベストグレード選びに悩まされる新型でもあったりする。ちなみに、同パワートレイン、グレード比較では、意外にも新型ハリアーのほうが重い。それは、装備が豪華すぎるのと、吸音、遮音材に+10kgの重量を使っているからだという。(写真は19インチ)