トヨタの予測よりもユーザーのニーズが上まわってしまった
トヨタは、国内向けEVの市場導入を2030年までにと公表しており、10年という年月がある。つまり、国内には当面リチウムイオンバッテリーを多く搭載しなければならない車両の発売は多くならないかもしれないという考えが潜んでいると解釈できる。理由は、プリウスPHVがそれほど売れていない現状があるのではないか。同時に、トヨタはハイブリッド車(HV)ですでに十分な実績を上げ、燃費の点では世界的に誇れる市販車を販売してきた経緯がある。
EVやPHEVは、家庭などで200Vの普通充電をして初めて最大の機能を発揮できる電動車両であり、国内にはマンションなど集合住宅の管理組合問題という障壁がある。富裕層を含め多くの人が住む集合住宅の駐車場で、普通充電の設備を設置できない状況が過去10年を経て解決されていない。したがってトヨタは、充電の必要なEVやPHEVは、国内ですぐには売れないだろうと考えたのではないか。
ところが、近年のSUV(スポーツ多目的車)の流行とともに、RAV4自体も人気が高く、そのPHVとなったとき、消費者は反応したというわけだ。
世界では、リチウムイオンバッテリーの入手争いが起きている。同時にまた、リチウム資源には限界もある。先を読み誤ると、トヨタといえども敗者となる可能性はゼロではない。