静粛性には優れるもののエンジン音の質に課題
しかし、さらに車速を上げていくと残念な部分も見え始める。まずエンジン音がいただけない。遮音性能は優秀だが、完全にエンジン音を遮断しているわけではない。僅かにだが漏れ聞こえるエンジン音がなんとなく安っぽい音色で、力強さを感じない。とくに加速場面ではトルクの物足りなさや加速感の鈍さを感じながらのエンジン音なので、なおさら貧弱に聞こえてしまったようだ。
トランスミッションはCVTを採用している。このCVTはRAV4に採用され評価の高い発進用のギヤを組み込んだダイレクトシフトCVTで、発進から微低速域では文句ない仕上がりだが、高速道路への流入など加速領域ではエンジン回転が大きく立ち上がりノイズも高めてしまっている。音量と加速感のアンバランスがドライビングの楽しさをスポイルしてしまうのだ。
次にHVのFFに乗り換える。こちらは2.5リッター直4エンジンにHVシステムを組み合わせていて、パワー/トルクも強力になっている。発進時はEV走行なので静かでスムーズ。加速時にエンジンが始動しても始動タイミングが分からないほどスムースで、かつエンジンサウンドも2リッターより力強く感じられる。
2リッターガソリンモデルよりパワートレイン重量が増したことで前輪への負担は増えるが、第三世代となるラックアシスト電動パワーステアリング(EPS)により質の高い操舵フィーリングが得られ、ライントレース性も正確になった。
最後にHVの4WDモデル(E-Four)も試す。E-Fourモデルは後輪専用のモーターを備え、140km/hまで後輪の駆動アシストを行うことができる。RAV4のE-FourシステムはV-MAXまでアシストできるのでモーターと制御が異なるようだ。一般道ではしかし必要十分なトラクションと安定性を確保でき、シティ派SUVながら雪道や悪路へも踏み出せる多様性の高さを備えていると言えるだろう。
3モデルに試乗したが、総じて言えるのは静粛性が高まったことと装備を含め質感が向上したこと、そして先進の装備を標準で搭載することで高い安全性を確保しているといえる。
スタイリッシュなデザイン性の高さと新技術の融合で既に2万台以上のオーダーを受けているという新型ハリアー。今年もっとも注目される1台になることは間違いなさそうだ。