「ドアがあっても座席がない」「ぶつける前提のボディ」日本人の発想が追いつかない輸入車「珍装備」5つ (2/2ページ)

走りに特化するあまりドアはあるのに座席がないクルマも

3)BMW i3(狭幅・大径タイヤ)

 BMW iシリーズというのは、電動車両専用のサブブランドといえるもので、その中心的モデルが「i3」。量産車ながら、アルミ製プラットフォームとカーボン製ボディを組み合わせるといった構造、リヤ駆動にこだわったモーターレイアウトなどBMWらしい技術要素を詰め込んでいますが、なかでもほかのモデルで見ることがないといえるのが「狭幅・大径タイヤ」でしょう。

 標準装備サイズは155/70R19、オプションとして用意されているインチアップ仕様では、フロント155/60R20、リヤ175/55R20となっています。この数字だけを見ると実感できないかもしれませんが、タイヤの偏平率というのは幅と断面高の比率ですから、155/60ということは、計算上の断面高は93mmしかないことになるのです。235/40タイヤが同じくらいの断面高ですから、幅に対してどれほど薄いプロフィールなのかわかるでしょう。このような狭幅・大径タイヤを履いているは現在のところi3だけです。ちなみに、こうした幅が狭くて、大径なタイヤのメリットは空気抵抗を減らしつつ、さらにタイヤの変形によるロスも軽減できること。エコ性能のためにi3をロジカルに作り込んだBMWの思いが伝わってくるタイヤ選定といえます。

4)ルノー・メガーヌR.S.(リヤドアがあるのに2人乗り)

 さて、先日鈴鹿サーキットにおけるFF最速タイムを奪取したと発表したホンダ・シビックタイプRと「FF最速」の座を競い合っているのがルノー・メガーヌR.S.。その最速グレードである「トロフィーR」には、なんと後部座席がありません。

 基本となるボディはメガーヌのままですからリヤドアは存在していますが、ドアを開けてもそこにシートはなく、タイヤを積みやすい形状とされたラゲッジフロアに変身しているのです。これは最速タイムを目指して軽量化をするための判断ですが、ドアがあってもシートがないというクルマには、なかなかお目にかかれるものではありません。荷物の積み下ろしでしか使わないドアですから窓も固定タイプとなっているのも徹底した軽量化を思わせます。こんな割り切ったスポーツカー、国産車ではまず見ることはできません。まさに輸入車だからこその珍仕様です。

5)ボルボやVWのインテグレーテッドチャイルドシート

 最後の紹介するのは、一部の欧州車に見られる「インテグレーテッドチャイルドシート」です。日本で正規販売されているモデルでも、フォルクスワーゲンやボルボで見かける、このシートは座面がせりあがることで、体の小さな子供でもちゃんと肩にシートベルトがかかるようになるというもので、機能的にはジュニアシートに相当するもの。

 フォルクスワーゲンのミニバン(ゴルフトゥーランやシャラン)ではヘッドレストも頭の横までカバーする専用品に変えることで、より安心して子供を乗せられるようになっているのです。これこそ、至れり尽くせりをウリにする国産ミニバンにオプション設定するなどの展開を望みたいものです。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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