日産アリア登場! 量産EV第3弾は最大610km走行可能なハイテクSUV (1/3ページ)

リーフの応用ではなくモーターもバッテリーも専用開発

 日産自動車は、リーフに続く新たな乗用タイプEV「アリア」をワールド・プレミアした。2種類のバッテリー容量と、2WD(FF)/4WDとふたつの駆動方式の計4通りのラインアップとなっている。なお、日本市場への投入は2021年の中ごろをを予定しており、価格は500万円からとなる予定だ。

 これまで日産は、ハッチバックのリーフ、ビジネスバンタイプのe-NV200と2機種のピュアEVをラインアップしてきた。3機種目のアリアは、初のクロスオーバーSUV型となる。東京モーターショー2019において、コンセプトモデルが披露されており、先進的なスタイリングで注目を集めたのは記憶に新しいところ。市販モデルでは、その姿ほぼそのままといってもいいスタイリングが与えられた。

●日産アリアのパワートレイン

 注目のパワートレインは、65kWhと90kWhの2タイプ。リーフは40kWhと62kWhとなっているが、アリアの車重が約2トン前後ということを考えれば当然の容量アップと言えよう。また、それぞれのバッテリー容量は駆動方式によって最高出力が異なる。2WDモデルの65kWhは160kW、90kWhは178kW。4WDモデルの65kWhは250kW、90kWhは290kWとなっている。

 モーターやバッテリーは、リーフに搭載しているものを流用・応用したものではなく、アリアのために新開発されている。モーターは高速巡航時の消費電力を低減したことで、一充電の航続可能距離の延長に貢献。2WD/90kWhモデルにおいては最大610km(WLTCモード・日産社内測定値)の走行が可能となる実力をもつ。また、バッテリーの温度を一定に保つことができる水冷式の温度調節システムを搭載。これにより最大130kWの急速充電にも対応し、30分の急速充電で最大で375km分の電力を蓄えることができるようになっている点数も見逃せないだろう。

 アリアの最大130kW急速充電に対応する、最大出力150kWのCHAdeMO急速充電器を2021年内に公共性の高い場所へ設置できるよう、現在関係各所と調整中とのことだ。EVの悩みのタネといえば、航続可能距離と充電時間だろう。このふたつの悩みを解消するという意味でも、アリアは新しいEVの楽しみ方を提案してくれるモデルになるはずだ。

 また、新開発のEVプラットフォームは、重量物であるバッテリーを車体中央に配置し、低重心かつ均等な前後重量配分となるように設計されている。バッテリーケース内にはクロスメンバーを配したことで、フロントトンネルがない、フラットなフロアも高い剛性を確保した。それに組み合わせるサスペンションパーツも、高剛性タイプを採用したことで、操縦安定性の向上と快適な乗り心地&高い静粛性を両立させた。

 そして、4WDシステムは最新技術のe-4ORCEを搭載している。これは日産が誇るスポーツモデル「GT-R」が搭載するアテーサE-TS(電子制御トルクスプリット四輪駆動システム)や、「エクストレイル」に搭載するインテリジェント4×4などから得た、駆動力制御やブレーキ制御、シャシー制御の効果などを応用したシステムだ。

 e-4ORCEは前後に計2個のモーターを搭載する。それぞれのトルクを独立して制御することが可能で、加速時の力強いトラクション性能の確保はもちろん、減速時に前後モーターの回生量を個別に調整。ブレーキング時のクルマの沈み込みを減少させるなど、車体の揺れを抑えるような制御も行っている。

 コーナリング時には前後トルク配分を調整するのはもちろん、4輪のブレーキは個別に制御することで、ドライバーの操作に忠実に、そして心地よいハンドリングをもたらしてくれる。爽快なドライブはもちろん、雨天や雪道などといったさまざまな路面環境においても、安心してドライブすることができる。


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